TZ 8130:Feldman / Caine / Cohen / Baron "Secrets" (2009)

ジョン・ゾーン馴染のメンツが揃った一枚だが、あくまで別セッション。あおり文句には"新カルテットのデビュー作"とあるが、次のCDは今のところ出てない。
ある意味、ジョン・ゾーンの音楽へ口火を切るのに適切な盤かもしれない。
凄腕メンバーの整った演奏と、エキゾティックな風味を施された。前衛要素は希薄で、滑らかでハイテクニックなモダン・ジャズが聴ける。

ユダヤ教の超正統派(ハレディーム)の流れをくむ、露のルバヴィッチ、サトマー、ボボヴ、モドディッツ派のメロディ(nigunim)をジャズ解釈、がコンセプトのようだ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Hasidic_Judaism
ユダヤ教の派閥は良くわからず、Wikiから推定してる。

08年の1月にNYのスタジオ録音の本盤は、溌剌としたクレツマー・ジャズを聴かせる。
Masadaのリズム隊にユリ・ケインのピアノとマーク・フェルドマンの組合せは、一聴してジョンのプロジェクトと思わせるが・・・聴いてたら、完全に違うと分かる。

一言で言うと、純粋できれいだ。ジョンの楽曲は何かが突出してる。スピードなり構成なり、テンションなりが。だが本盤はユダヤのルーツを見据えながらも、根本が優しい。ときおり現れる牧歌的な旋律が象徴してる。アレンジはオーソドックスなジャズで、丁寧にテーマがアドリブへ向かった。

ブックレットにはシュタイナーの言葉「自然のすべてが音を通じて自らの秘密を我らにに囁きはじめる」を記載、オカルティックな要素も漂わす。この辺もジョンの趣味に合致してる。だが、別物だけど。

改めてMasadaはジョンのプロデュース力の賜物と思った。モゴモゴと粘りながら疾走するベースも切れの良いドラムも、どこか毒が無く爽やかだ。クールでスマートな印象が先に立つ。Masadaでの禍々しさや情念は希薄だ。

取り上げられるユダヤのメロディも、ヴィヴァルディや唱歌を連想する牧歌的な旋律がそこかしこに。本盤こそがユダヤ音楽の神髄を、素直に抽出したジャズかもしれない。

Personnel:
Joey Baron: Drums
Uri Caine: Piano
Greg Cohen: Bass
Mark Feldman: Violin

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