FC2ブログ

Marie Krüttli 「Running After The Sun」(2017)

 ほんのり抽象的なフレーズ感で、フリー寄りのピアノ・トリオ。

  "Kartapousse"(2015),EPの"What Do I Miss"(2016)に次ぐ2ndアルバム。
 リーダーはスイスのローザンヌ大学で学んだ女性ピアニスト。冒頭から打楽器っぽいアプローチで鍵盤を鳴らす。メロディアスながらちょっとぎこちなく硬質な音階が響いた。
 ドラムのフィルもわずかにフリーな要素あり。根本的にはコード進行による楽曲のようだが、進行や和声のにじみや歪みに独特な前衛さを感じた。

 力押しで暴れないもどかしさあり。奔出させるエネルギーよりも、溜めて冷静な面持ちがある。譜割が小節線からはみ出し、緩急も効かせながら、一歩引いた客観的な視点が常に漂った。
 知的な計算とも少し違う。欧州的なスイング感の希薄なアンサンブルは、音使いこそ興味深いものの、分厚いベール越しに伺う歯がゆさ。余裕を懐に隠し、八割の力で演奏するかのよう。

 サイドメンは1st"Kartapousse"と同じ顔触れ。手慣れたバンド・サウンドか。ヘンテコな響きでも破綻させぬ予定調和は、セッションを重ねたゆえの意思疎通ぶりと思われる。

 小節単位のアイディアや展開は興味深い。けれど一曲を俯瞰すると、おっとりと一本調子でダイナミズムが物足りない。
 暴れるでも耽美でも繊細でもグルーヴィでもいい。どこかもう少し、突出する個性が明確になったら、味わいが増すと思う。音使いや響きは面白いのだから。

 16年にSchaffhauser Jazzfestival、17年に12 Points festivalへ出演のライブ映像があった。メンバーは本盤と同じ。
 
 音からはもう少し荒々しいムードを連想したが、ライブ映像を見ると可憐なほどに線が細いピアニストだ。もう少しキャリア積んでふてぶてしくなったら、また色合いが変わるかも。

Track listing:
1 Istanbul Dort
2 Balncing On A Wall
3 Running After The Sun
4 Windy
5 Kambly Swing
6 Contemplative Birds
7 Pocahontas
8 Sailing Day

Personnel:
Double Bass - Lukas Traxel
Drums - Martin Perret
Piano - Marie Kruttli

関連記事

コメント

非公開コメント