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Les Paul & Mary Ford 「The Very Best Of Les Paul & Mary Ford」(1977)

 多重録音とテープ回転数の先駆者による小粋なジャズ。

 レス・ポールは多重録音の先駆者だった。アルバムもいろいろ、シングルもいろいろ。ベスト盤も山のように出てきたが、とりあえずあまり考えずに一枚。この盤がベストと言うつもりもない。

 たまたま本盤はAmazon Music Unlimitedで聴いた。16曲入りで38分と手ごろなボリューム。100曲入りとか廉価盤は財布には優しいが、聴くのも大変。
 これはDiscogsによると74年に英 Music For Pleasureが発売のコンピ曲順を踏襲のようだ。ブートみたいなものか。

 レス・ポールが当時の妻メアリー・フォードと活動を始めたのは48年頃。50年代半ばまで続いたらしい。
 本盤はシングル・ヒットを中心にまとめた。以下の曲目リストに当時の発表年と全米チャートをWikiやDiscogsを元に記してみた。

 年度順じゃなくヒット曲をちりばめた格好。48年から53年までの全盛期をまとめた。
 あらかた網羅してるように見えるが、完璧ではない。全米2位の"Mockin' Bird Hill"(1951)を外して、そのB面(7)を収録と謎なところもあり。
 また、当時のLPから(3)(5)(12)(13)を収録とマニアックっぽい選曲が目立つ。当然僕はこれらの曲をリアルタイムで知らない。もしかしたらラジオではローカル・ヒットしたのかもしれないが。イギリス流のひねった選曲なだけか。

 タイトルこそ二人のデュオ集のようだが、実際にはレス・ポールのギター演奏を中心に収めた。
 
 とにかく楽しいのはアイディアと響き。古い録音なだけにハイが強調され、今となってはコミカルさも先に立つ。けれども鮮烈なピッキングの響きと、さまざまなアイディアの宝庫は時代を超えて楽しい。
 リズム楽器が入る曲もあるが、基本はギターのみ。音域を変えてアンサンブルを作った。
 エレキギターのブライトな音色が数回重ねられ、トロピカル・ラウンジな雰囲気を漂わせた。
 鉄板エコーの深い響きがショート・ディレイ風に奏でられたり、テープの早回しできらびやかなムードを演出したり。特に早いフレーズをさらにテープ回転を上げて、目まぐるしく跳ねまわる旋律はテクノっぽいところもあり。
 ときにメアリーの歌声も多重録音。ふくよかなハーモニーの妙味も聴かせた。

 選曲自体はむしろ保守的。カントリー色が強く毒気より親しみやすさ、当時のスタンダード的な安定感を基盤に置く。
 けれども硬質なエレキギターの音色が小気味よく跳ねまわる勢いは痛快だ。例えば極初期のヒット(8)。高速回転でオブリが飛び跳ねた。せわしなく、しかし慌ただしさより優美さを秘めた。

 電気仕掛けのおもちゃを存分に楽しみ、安定した選曲と楽想で親しみやすさを確保する。けれども多重録音の角ばった鋭い音色が、勢いよく弾けてうっすらとサイケなムードを漂わせる。

 古めかしくも、ユーモラスな勢いがある。古びてるが、ボケてはいない。騙されたと思って聴いて欲しい。面白いよ。

Track listing:
1 How High The Moon 2:07 【1951:1位】
2 I'm Sitting On Top Of The World 2:17 【1953:10位】
3 I'm Forever Blowing Bubbles 2:57 【1951】
4 Nola 2:36 【1950:21位】
5 Bye Bye Blues 2:04 【1953:5位】
6 Chicken Reel 2:08 【1951】("Mockin' Bird Hill"(全米2位:B面)
7 Jealous 2:16 【1950】((4)のB面)
8 Lover 2:47 【1948:21位】
9 Little Rock Getaway 2:25 【1950:18位】
10 Goofus 2:38 【1950:21位】
11 Jazz Me Blues 1:37 【1951:21位】
12 St. Louis Blues 2:36 【1952】
13 La Rosita 2:23 【1951】
14 The World Is Waiting For The Sunrise 2:12 【1951:2位】
15 Carioca 2:31 【1952:14位】
16 Vaya Con Dios 2:53 【1953:1位】

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