TZ 7253:巻上公一"Koedarake"(2005)

ヒカシューの巻上公一が"Kuchinoha"(1995)、"Electric Eel"(1998)に続くTzadikで三枚目となるソロ・アルバム。
声だけの即興が17曲だ。エフェクトやダビング、編集無し。録音も巻上自身が行った。
無伴奏で声帯や口腔に唇の形と、呼吸方法を駆使した変声のインプロが続く。

   

巻上公一はジョン・ゾーンとの交流が長い。2ndソロ"殺しのブルース"のプロデュースはジョンだし、日本でコブラのプロンプターならば巻上が第一人者だ。
さて、本作。数秒の短い作品から、5分くらいの曲までバラエティ豊か。

パーカッシブでループ性あるが、じわじわと変貌させ飽きさせない。巻上の声帯インプロは音の響きとフレーズのユニークさを並列さる、シンセのようなアプローチ。ロングトーンやノイズはさほど志向しない。

ユーモラスな響きだが雰囲気は真剣ゆえに、奇妙な緊迫を聴き手にも求める。逆に、笑い飛ばして聴き流しは巻上の真骨頂を味わえない。豊富なアイディアを口から放出し続ける迫力を、じっくりと味わおう。
しかし呼吸の使い方も上手い。ときに息継ぎすら感じさせぬほど、長尺で即興も聴けた。

巻上は口琴やテレミンの演奏も堪能。アルバムのバラエティさのため、それらの演奏やダビング駆使したインプロを混ぜることも可能だった。
しかし本盤では別の要素を入れない。自分の声とストイックに向かい合った。いかに多様な音楽を産み出すか、の制約を自らに与えて。

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