TZ 7399:John Zorn"The Hermetic Organ"(2012)

ジョン・ゾーンによるパイプ・オルガンのソロ。なかなか触れる楽器では無いと思うが、どんなリハーサルや実験を重ねたか、も興味ある。本盤は抽象的で音響アプローチで、約36分の一発勝負。

とっつき悪いがとても味わい深い。アナログ・シンセの即興を連想する。音階が塊りで鳴る迫力は、やはり生で聴きたい。大ボリュームで聴くと、強烈な音圧にしびれる。
     

本盤は11年12月9日のライブ音源を完全収録した。ジョンにとってパイプ・オルガンの即興は興味深いらしい。Tzadikから本盤のあと、現時点で2枚リリースがあり。

当日の演奏前インタビューがYoutubeに残ってた。
オペラの怪人でオルガン音楽を9~10歳位に触れた、とかパイプ・オルガンでのインプロは、オーケストラと一体のようだ、などをゆっくりと語った。


演奏は静かに始まり、ジワジワと盛り上がっていく。早いパッセージや実験的な不協和音のメチャクチャさは無い。さすがに荘厳さを意識した展開だ。逆に不協和音が響き渡っても、残響や楽器を制御しづらいのかも。

バロック風の旋律を変奏する即興ではなく、シンセ的に音響を響かせるアプローチ。CDでは若干籠った音質が否めないが、現場にいたら凄まじい迫力だったろう。
メロディは不透明にゆっくり動きつつ、非常に幅広い音域で音像が広がる。中盤で低音がループのように唸る中でゆったり高音が煌めく場面から、噴出するマグマのごとく広がる複雑な和音や細かな旋律がはじける箇所は、すごく刺激的だ。

一瞬の強烈なクラスター。全休符へすぐ突入し、観客がざわめく。長い長い休符。観客のごそごそいう音をたっぷり響かせた後、ふたたびジョンは高らかに鍵盤を押さえる。
荘厳な迫力が降り注ぎ、空気を強烈に振動させた。

ちらちらと鳴る金属質の音は何だろう。トライアングルでも持ち込んでるのかな。

なお本盤が初めてのオルガン即興ではないみたい。同年2/24のフィラデルフィア音源の一部がYoutubeにあり。時期不明だがベルギーはアントワープで演奏もあった。こちらは11年8/4にアップされており、やはり本盤の前ではないかと想像する。
 

なお11/12/9のコンサート本編は、この記事によると以下のセットリストなようす。
当日の音源のうち一部は、Tzadikから発売したジョン・ゾーンのソロ名義作で聴ける。(1)が"Rimboud"(2012)、(6)が"Music and Its Double"(2012)に収録された。

<コンサート本編>
1.Bateau Ivre (世界初演):Brad Lubman指揮、Talea Ensemble
2.Illuminations:Stephen Gosling(p), Trevor Dunn(b), Kenny Wolleson(ds)
3.Passagen:Jennifer Koh(vln)
4.Cerberus:Peter Evans(tp), David Taylor(b-tb),Marcus Rojas(tuba)
5.ジョン・ゾーンへのインタビュー
6.À Rebours:Brad Lubman指揮 Fred Sherry(vc),Talea Ensemble
(休憩)
<アンコール>
7.パイプオルガン・ソロ(本盤収録);John Zorn(org)

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