TZ 7402:Ken Butler"Voices of Anxious Objects"(1997)

lunatic fringeにカテゴライズされた、自作楽器家のケン・バトラーによる作品。
バイオリンを初めとし、きちんと音楽演奏ができている。アーティストのめちゃくちゃな手すさびではない。基本はトリオ編成、5曲でMatt Darriauが加わるアレンジだ。

lunatic fringeとは"少数過激派"を意味するらしい。変なミュージシャン、がコンセプトか。Tzadikそのものが個性派だと思うが。20年経過の現時点で12枚しかない。忘れたころにこのサブ・レーベルでTzadikはぽろっとリリースを重ねてきた。

そんなケンはlunatic fringeにふさわしいと選ばれた、名誉な一人。本盤のブックレットでは数々の自作楽器も掲載した。Webでもここで彼の作品を閲覧できる。


柄のある道具に他のものをくっつけ、1~数本の少ない弦を張ったオブジェが基本だ。見た目の面白さが主流で、演奏はしづらそう。たぶんピックアップで音を鳴らしており、音響面よりオブジェを強調したアートなアプローチだ。
しかし時にボディ材質の胴鳴りやアタッチメントでの音追加など、演奏に創作楽器ならではの味付けを施している。

(6)ではVibrabandという名のホース製トランペットも演奏。これは写真が無く残念。音から想像するにドローンだけでなく音程も出せるみたい。この映像の楽器かな。口琴の変形楽器っぽいが、見事な音程の展開に驚いた。


97年4月19日にダビング無しのDAT一発で録音完了、のクレジット。では複数のクレジットある楽器は持ち替えか。
その割に各曲とも色合いが違う。かなりの部分は即興と思うが、驚異的なアイディアと演奏力だ。

和音や音階にアジアン風味漂う曲から、がっつりのジャズまで幅広い音楽性にやられた。
テーマは譜面だが、中間部のスリリングなアドリブは間違いなくインプロ。よほどの作りこみと、即応性の双方が伺える。
もちろん脇を固めるミュージシャンらも。着実にグルーヴする武石務のベースが存在感を確かに支え、のびのびとケンがアドリブを取った。
ダラブッカ中心なSeido Salifoskiのリズムも、シンプルながら太い。

本盤はアイディアこそ突飛だが、奏でる音楽はオーソドックスに親しみやすいジャズだ。

Personnel:
Ken Butler: Vibraband, Hybrid Instruments
Seido Salifoski: Tapan, Percussion, Dumbek
Stomu Takeishi(武石務): Bass
Matt Darriau: Reeds, Saxophone, Clarinet, Shanai, Kaval (Bulgarian Flute), Gaida (Bulgarian Bagpipes), Flutes

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