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The Ingram Kingdom 「The Funk Is In Our Music」(1976)

 フィラデルフィア発な家族ファンク・グループのデビュー作。

 今までに本作ふくめ84年までに4枚のアルバムを発表した。のちのアルバムはIngram名義に変わる。
 フィラデルフィア出身の割には、なぜかナッシュヴィルのエクセロから発売だった。ただし2作目からは別レーベルに移籍。順風満帆な活動でもなかったらしい。
 8人編成で全員がイングラム姓。家族なり親戚なりで結成のバンドのようだ。本盤以外に3rdと4thは今でも入手可能のようす。
  
 なおボーカルを取るバーバラは、従兄や友人のCarla BensonにEvette Bentonとボーカル・グループを結成。The Sweethearts of SigmaやThe Philadelphia Angelsの名義で、膨大なフィリー・ソウルのコーラスをこなした人。

 一曲目はなんだかとてもバタバタするリズム感で、危なっかしい雰囲気が漂う。つまりはぶっちゃけ、めちゃくちゃ上手くはない。ドラムは一人だが、スネアとシンバルを左右に振ったミックスは、それぞれ別にリズムを録ってまとめたかのよう。
 ベースがグルーヴの芯を固め、ギターが骨を支える感じ。
 
 彼らの魅力はアレンジやメロディにある。ちょっとピントのボケた柔らかいとこあるが。
 (1)はいきなり中盤でサイケなギターが前面に出た。ミックスが極端にバランス変わる大胆さがヘンテコで面白い。

 いかにもフィラデルフィアな甘さの(2)でまず惹かれた。やはりドラムは危なっかしいのだが。
 あえて自前のホーン隊を前に出さず、アコギとフルート風のシンセとエレピでまとめるセンスがユニークと思う。ハーモニーとボーカルの絡みも不安定ながらキュート。
 そう、このバンドはそこかしこに粗削りさが残る。

 (3)爽やかなアイズリー寄りのミドル・テンポは、ドラムのモタリがもどかしい・・・って、ドラムが妙に気になる。
 しっかりしたベースにストリングスを足して明るく陰りなく決めた。

 むわっとサイケ色に、オルガンを中心のファンクネスを足した(4)のアレンジも面白い。これって全員の音楽志向か。演奏技術をメインに何となく仕上げたらこうなったって、自然発生にも思える。
 しかしこのバンド、オリジナル志向だからこそアルバムを残してくれてありがたい。どうやらフィリー・ソウルに留まらぬ洗練されたサウンドを作りたかったようだ。
 ここでもエレキギターが裏でしっかり主張する。リズムが暴れるのはご愛敬。

 (5)はオルガンが前に出たサザン・ソウル風。この五目味なアレンジは、家族バンドならではの民主制による各個人の趣味趣向か。およそ一貫性が無くて楽しい。個々の楽曲はメロディアスできれいだから、音楽そのものは素直に楽しめる

 再び(6)では男性ボーカルに変わって目先を変えた。ベースがぶいぶいと押してくる。
 オルガンとあいまってファンキーさを出し、リズム系の怪しさをカバーした。途中で音を抜いたりと、弾きっぱなしにしないアレンジの気配りがいい。曲調は今一つメリハリ無く単調だが。

 エレピがギターとベースで混ざるグルーヴィな(7)も、テンポはアップ寄り。男女ボーカルで厚みを出しメロウに迫った。ドタバタなドラムもこの曲はさほど酷くない。ベースといい感じでノリを作ってる。終盤で微妙にテンポを変えながら、残響を増してまたしてもサイケ寄りに行く。

 (8)は美しいスロー。シンセが効果的にさえずった。ボーカルは男女のデュエット形式。男の方も歌は悪くないが、バーバラが出た瞬間に役者の違いが判ってしまう。ドラムがそうとうにタイミング外してる気がする。
 
 アルバム総合ではなんとも中途半端な感じ。
 家族バンドだと結束が固い一方で、下手なプレイヤーを抜けないのが難点。

Track listing:
1 Ingram Kingdom 4:00
2 Tried It And Liked It 3:43
3 What Else Can I Say 2:20
4 He's Mine 3:29
5 Music Is Our Message 5:35
6 The Funk Is In Our Music 3:25
7 Someone's On My Side 3:55
8 She's All Alone (I Need A Man) 5:00
9 Put Your Troubles Behind 4:05

Personnel:
Bass - Butch Ingram
Congas - Timmy Ingram
Drums - Johnny Ingram
Guitar, Trombone - Bill Ingram
Keyboards, Saxophone, Flute - Jimmy Ingram
Trumpet - Butch Ingram, Timmy Ingram
Vocals - Barbara Ingram

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