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TZ 7175:Ben Perowsky "Camp songs" (2003)

 ユダヤ文化を踏まえた、タイトなリズムの安定感。

 TZADIKにもさまざまな盤に参加するNY出身のドラマー、ベン・ペロウスキーの単独名義では初の盤かな。
 録音はRoy Ayersのライブ盤"Fast Money"(1988)まで遡れる、けっこうなベテランなのだが。
 なお彼の活動はジャズに留まらず。目についたところでは、ウォルター・ベッカー"11 Tracks Of Whack"(1994)でも3曲で叩いてた。

 本盤はピアノとギターをフロントに立てたカルテット編成。全10曲中7曲がユダヤ教の聖歌、あとがペロウスキーのオリジナルというユダヤ文化へ密着した構成を選んだ。
 アレンジは基本的に彼だが、(8)のみ本盤のピアノ奏者、ユリ・ケインがアレンジした。
 
 荘厳で落ち着いたタッチながら、リズムは吸い付くようにタイトでスリルを演出する。いかにもTZADIKらしいアプローチのアンサンブルが聴ける。
 流麗なピアノがどうしても目立つが、リーダーであるドラムは手数多くハタくような手業で小刻みにビートを揺らした。
 
 演奏はがっちり固まり、ストレート・アヘッドかつクレヅマー的な風味のジャズ。ベースやギターもソロを取り、特段にピアノばっかり前面には出さない。
 なおベースのDrew Gressとは相性良いらしく、今も編成を変えながら起用し続けている。いや、別にほかの二人と仲が悪いわけではなかろうが。
 
 破綻が無くTZADIKのコンセプトに合致した盤のため、驚きはない。(4)で金物とピアノがユニゾンで動く荘厳なアレンジは、なんか新鮮できれいだった。その穏やかさを壊すように、ばしばし手を入れてくるのがドラムってのが、なんだかなーと可笑しくなる。

 (5)や(6)のようにピアノが派手に動いても、安易にフリーで丁々発止には行かない。
 小節線を揺らしつつも、テンポはきっちりキープがペロウスキーが本盤で総じて選んだアプローチ。自由に動きながらも、安定感はばっちりだ。
 奔放なドラミングは(8)で聴ける。これが一番フリージャズっぽいかな。

 たぶんライブで聴いたら、もっと緊張感やグルーヴにハマると思う。きれいにまとまった録音な本盤だと、普通だと少し物足りない。思い切りボリュームを上げて聴きたい。すると空気の震え具合が、もっと生々しくなる。

 ちなみにボーカルでもペロウスキーはクレジットあり。何だろうと思ったら、(7)で女性二人と静かに歌っている。歌はダビングかな。
 この曲は厳粛なムードと、アフリカ的な広がりあるリズム感が美しい。本盤の中では異色のアレンジだが、名演だと思う。なおWikiによればこの曲はユダヤ文化では食事の後に歌われるらしい。

 このアフリカっぽいムードは(9)でも有り。個人的な好みだが、この手の雄大な路線へ着目してアルバム一枚仕上げて欲しかった。 

Track listing:
1 Yigdal 5:12
2 Adon Olam 4:43
3 Mess Hall 4:12
4 Ashen 4:52
5 Shema (Shaharit) 3:58
6 Aleinu 3:32
7 Birkat Hamazon 6:53
8 Trop 5:12
9 Shema (Maariz) 5:45

Personnel:
Producer, Drums, Bells - Ben Perowsky
Arranged By - Ben Perowsky (tracks: 2 to 4, 7)
Acoustic Guitar - Danny Blume
Bass - Drew Gress
Piano - Uri Caine
Vocals - Ben Perowsky, Jennifer Charles, Oren Bloedow
Written-By Traditional (tracks: 1, 2, 5 to 9)

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