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Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O. 「Minstrel In The Galaxy」(2004)

 影が覆いかぶさったかのよう。トラッド風味のサイケが全編に漂う、激しい場面があっても総じて静かなアルバム。

 ボーカルにあふりらんぽのオニとピカチュウが参加した初の盤という。タイトルはジェスロ・タル"Minstrel in the Gallery(天井桟敷の吟遊詩人)"(1975)のもじり。

 録音は04年の4月~7月にかけて。この時期、4月にAcid Mothers Gongで日本ツアー、5~6月には米加ツアー"Acid Mothers Temple is back!"を本盤のカルテット編成で実行。その合間に製作された。
 本盤のレコ発ツアーとして同年10~11月には英&欧州ツアーと精力的に活動を続けていた。

 本盤のプロデュースと録音は河端一。しかしながら、津山篤のトラッド趣味が強く出た。さらに河端の一面であるドローン色も濃い。

 (2)の29分過ぎからエレキギターが吼えて、加速はするけれどテンポ感は重たい。
 この曲を挟む(1)や(3)も含めて、むしろ重厚でねっとり湿ったムードが漂った。マスタリングも静と動で大きなメリハリを付けず、ぺったりと平板な音像だ。
 なるたけデカい音で聴かないと、本盤のダイナミズムは分かりづらい。

 能天気に騒ぐだけではない、じわじわと抑えたダーク・アンビエントな味わいをとことん突き詰めた上で、最後に炸裂するカタルシスが狙いか。
 とはいえ無邪気な解放感よりも、密やかな幻想性に軸足が置かれている。アシッド・マザーズの盤に慣れたあと、多面性を味わうのに良い盤。最初に聴くには、少し敷居が高い。

 逆に言うと、河端の多様性を見事にまとめた盤だ。(2)ではオニやピカチュウの残響をたっぷりまぶした囁くような歌声で神秘的に膨らませた。
 そしてホーメイのように唸る津山の声を登場させて、女性の声は日本語に変わる。このエキゾティックな世界観の変遷は刺激的だ。
 
 (2)の最後の10分で疾走するアシッド・マザーズを魅せて、最後はアコギの爪弾きにサーランギやシンセをまぶしたサイケ・トラッドにまとめた。
 地味、ではある。しかしじっくり聴いて馴染むと、じわじわ来る優しさと情感が愛おしい。
 確かに「銀河を馳せる吟遊詩人」のタイトルにふさわしい、こじんまりながら奥行きと浮遊が同居したコンセプトだ。実際には曲を作った後、タイトル付けだとしても。

 CDはAmazonでやたらプレミアついてるが、MP3で容易に聴ける。


Track listing:
1 Cosmic Introduction 3:08
2 Minstrel In The Galaxy 41:38
3 St. Bel Canta 6:56

Personnel:
津山篤 : monster bass, vocal, acoustic guitar, cosmic joker
東洋之 : synthesizer, guitar, dancin’king
小泉一 : drums, sleeping monk
河端一 : guitar, sarangi, bouzouki, tambura, speed guru
Tiffany : voice
Oni & Pikacyu (from あふりらんぽ) : vocals

recorded at Acid Mothers Temple, April - July 04
produced & engineered by 河端一
mastered by 吉田達也

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