Mike James Kirkland 「Doin' It Right」(1973)

 埋もれた良い盤。いなたさ漂うメロウさがふくよかに広がった。

 ミシシッピ州の出身で70年代初頭に2枚のLPのみ残した黒人シンガーなマイク・ジェイムズ・カークランドの、2ndにあたるアルバム。いわゆるフリー・ソウル風味でメロウなアレンジ、ストリングスが泣いて滑らかな歌声が流れた。
 全8曲の基本は自作だが、(2)でキャロル・キング、(3)はJim Dorisの曲。オリジナルは69年のLuluかな。

 カバーの選曲からしてずぶずぶにソウルフルに行かず、妙に白人層を意識した選曲に見える。もっというと、女性っぽい繊細さを志向で、汗臭いわさわさした方向性ではない。
 ジャケットも花とたわむれるカークランドの連続写真だし。
 
 本盤の発売はカリフォルニアのレーベルBryan Records。ここによると、カークランドと兄弟で設立したインディらしい。
http://www.ubiquityrecords.com/artists/MIKE-JAMES-KIRKLAND.html

 この自給自足ぶりが徒となる。メロディは繊細で悪くない。ヒステリックな女性との対話形式な(5)はいただけないが。
 ストリングスをふんだんに使いつつも、コンボ編成のアレンジを施したアプローチは、まさにマーヴィン・ゲイの影響がどっぷり。多重ボーカルを駆使のところも。
 こじつけの冗談だが、ポップさより内省さを志向した本盤の方向性は、ゲイの"Here, My Dear"(1978)を先取りともいえる。

 ともあれ本盤、決してやっつけではない。線は細いがゴスペル仕込みの伸びやかな喉は、演奏にもぴたりハマっている。
 楽曲も粒ぞろいでふくよかなムードが心地よい。売れなかったのはほんと、インディだからだろう。

 なお音楽活動は本盤でやめたわけでなく、76年にBo Kirkland & Ruth Davis名義で"Bo & Ruth"もリリースした。要はインディで活動してたらしい。
 前述のURLによれば、改名はマイケル・ジャクソンと混同を避けるため。相方は元アイケッツらしい。

Track listing:
A1 Got To Do It Right 3:55
A2 It's Too Late 4:10
A3 Oh Me Oh My (I'm A Fool For You Baby) 4:20
A4 You Put It On My Mind 3:50
B1 Doin' It Right 8:15
B2 Love Is All We Need 4:15
B3 Love Insurance 2:57
B4 The Only Change 4:55

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