Hank Mobley 「Hank Mobley and His All Stars」(1957)

 豪華なタイトルだが、実際はミルト・ジャクソンを招いた小編成なコンボ。

 オールスターズと呼ぶなら前作のほうがふさわしい。本盤でメッセンジャーズとミルト、それぞれの格を踏まえた呼び方だといえば、それまでだが。

 前作の録音から2ヶ月後。ハンク・モブレーはペット2管の特殊な3管編成のサウンドを突き詰めもせず、あっさりと別編成で本盤を吹きこんだ。今回はヴィブラフォン入りの少し珍しい1管のクインテット。
 リズム隊は馴染みのメッセンジャーズ軍団で、ゲストにミルトを招いたと解釈できる。ディスコグラフィーだとミルトとモブレーの共演は本盤のみ。本盤はレーベル側の企画だろうか。

 5曲入りで全てモブレーのオリジナル曲。つぎつぎ新曲が投入だが、当時のライブ状況が不明のため、これらがミルトを意識した楽曲かモブレーがステージでやりなれた曲の音盤化かがわからない。
 楽曲によりミルトの加わり具合が異なって興味深い。

 たとえば(3)や(5)ではテーマにミルトが入らない。ワンホーン編成を想定したモブレーの持ち曲か。(3)はドラムが派手なのでメッセンジャーズのレパートリーでも不思議はない。
 その場でミルトを簡単に加えもできたろうに。敢えてミルトはソロのみの参加。(3)のエンディングはミルトがちらと絡むが。

 逆に(1)(2)(4)は軽快なマレットさばきとテナーが混ざり合ってメロディを奏でた。きっちり二人の魅力を表してる。モブレーが本盤のために書き下ろしと言われても不思議じゃない。
 エンディングでリフとソロをテナーとヴァイブで交換する(4)なんて、特に。

 (1)だとブレイキーは手数多い瀑布シンバルで煽った。テーマの裏でフィルをかまし、存在感を主張する。ベースとピアノも込みで、テーマを作るアンサンブルがいかしてる。
(2)ではキメが多い。テーマ演奏はアドリブじゃなさそう。モブレーが細かくアレンジか。いざソロに向かうと個人技の応酬だけど。

 本盤は全体的に、全員が爆走まで行かない。むしろ穏やかなファンキーさを狙った。(5)ではロマンティックにまとめる。
 どれもアップテンポでテクニックを競うより、ソロ回しでじっくり自分のアドリブ力をアピールしあうかのよう。特にミルトが奔放だ。強いアタックで音を弾ませグイグイ前に出る。アンサンブルよりソロを志向した。
 
 モブレーのサックスは、前より音色がちょっと柔らかくなった。リードを唇で締め付けず、ふわり鳴らしてる。すこし芯が甘いか。ビブラフォンに音色を併せたのかも。

 (2)のエンディングで、テーマを終わらせるときにヴィブラフォンとビブラートを合わせて揺らすようなテナーの吹きっぷりが心地よい。
 (4)のどっぷりブルージーな雰囲気のなか、奇妙な浮遊感を漂わすソロも良い。甘くきめる(5)もいいな。

Track listing:
1 Reunion 6:54
2 Ultramarine 6:38
3 Don't Walk 7:48
4 Lower Stratosphere 10:36
5 Mobley's Musings 6:04

Personnel:
Hank Mobley - tenor saxophone
Milt Jackson - vibes
Horace Silver - piano
Doug Watkins - bass
Art Blakey - drums

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