Suffocation 「Pierced from Within」(1995)

 デス声で高速疾走しながら構築美を生かしたヘビーメタル。

 ロックはむしろ苦手だしヘビーメタルは門外漢だが、ときどき無性に聴きたくなる。今はWikiをきっかけにあれこれ聴けるから便利な時代だ。まずヘヴィメタルの項を見るだけで、いかにこのジャンルが派生してるかよくわかる。重たくて派手さを基底に、どんどん細分化して趣味性を広げてきたんだ。

 どうせならテクニカルなのが聴きたい、とテクニカル・デスメタルを検索。ぱっと聴いてみたのがこれ。
 Wikiによればテクニカル志向のデスメタルは80年代後半が発端らしい。本盤のサフォケイションは88年もしくは90年頃に結成。NY出身で2ギター編成の5人組だ。
 
 このスタイルの嚆矢、なおかつ独特なデスボイスいわゆるガテラル・ボイスの始祖でもあるらしい。
 本盤は彼らの3rd。"Effigy of the Forgotten"(1991),"Breeding the Spawn"(1993)とコンスタントにレコードを出してきたが、本盤を最後に10年ほどリリースに間が空く。4th"Souls to Deny"は04年の発表になった。

 本盤を最後にメンバーが大きく入れ替わる。
 フランク・マレン(vo)とテレンス・ホッブス(g)以外は総入れ替え。おそらくここでいちど、バンドは解散したのだろう。なおドラマーのダグ・ボーンは結局、本盤にだけサフォケイションとして参加した。

 プロデュースはスコット・バーンズ。フロリダのモリスサウンド・スタジオが拠点で、本盤などを録音してヘビメタ界ではレコーディングの聖地になったらしい。
 発売元はロードランナー。最初はインディで80年から活動し、07年にアトランティックに買収とある。

 詳しくないため感想が完全に印象論になるけれど。ぱっと聴きで、すぐさまボリュームをがつんと上げたくなった。でかい音のほうが楽しいな。
 唸り声も低く鈍いわりに、演奏とくっきり分離されたミックスで低音ボイスが輪郭クッキリ響く。音域からして平板に聴こえるけれど。もし2オクターブ上げたら、けっこうメロディアスになりそうだ。

 ドラムの高速ビートもブラスト一辺倒でなく、曲の中でもキメ多くメリハリつけた。
 アルバム全体で画一にならぬよう工夫もしている。つまり多色ではないが彩りはある。
 2ギターの濃密な幕に、ドラムとベースが野太くまくしたて、ブレイクを幾度も用いてドラマティックさを強調した。
 ベースがギターとフレーズを合わせたりずらしたり、でノリの幅を広げる。
 さらにギターも低音リフ一辺倒でなく、ときに高音で疾走。つまりジャンルに留まらず、広げ深める双方を追求してる。この辺のダイナミズムが楽しめるアルバムだ。

 高速に駆け回るフレーズの痛快さ、吐き捨てるボーカルの漆黒さ。互いが鋭く、強く空気を切り裂いた。

 本盤はCDだと妙にプレミアついてるが、MP3なら容易に聴ける。


Track listing:
1 Pierced From Within 4:25
2 Thrones Of Blood 5:14
3 Depths Of Depravity 5:33
4 Suspended In Tribulation 6:31
5 Torn Into Enthrallment 5:25
6 The Invoking 4:36
7 Synthetically Revived 3:53
8 Brood Of Hatred 4:36
9 Breeding The Spawn 5:09

Personnel:
Frank Mullen - vocals
Terrance Hobbs - guitar
Doug Bohn - drums
Doug Cerrito - guitar
Chris Richards - bass

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