Miami Horror 「All Possible Futures」(2015)

 エレクトロ風味の夢見心地なポップスで、頑固な怠惰さがあり。

 メルボルン出身で活動開始は08年。"Illumination"(2010)に続く5年ぶり2ndアルバムとなる。爆売れはしないにしても、着実に活動を続けてるようだ。とはいえあまりライブの本数は多くない。セミプロ活動だろうか。
 デビューは4人だが、今はリーダーのBenjamin Plant以外に Joshua Moriarty,Daniel Whitechurchの3人。Discogsを見るともう二人のメンバーが記されており、若干の入れ替わりがあるみたい。
 当時に日本盤も出ており、そちらは(5)(2)(7)3曲のリミックスがボートラで付いた。

 サウンドは80年的なエレクトロ・ポップ。シンセがふわふわと飛び交い、デジタルな色合いながら高音のハーモニーが気持ちいい。性急に前のめりなポップさと、きれいなメロディが耳に残る。エレキギターがときおりアクセントでダビングされた。

 打ち込みビートを基軸のサウンドはシンプルだが、パーカッションやカウンター・フレーズをひっきりなしに入れて意外と分厚い仕上がり。

 アプローチはソフト・ロックながら、あくまでリズムは電気仕掛けなのがミソ。バンド風味でも、作り上げた産業ポップにも行けそうな楽曲ながら、エレクトロ・ポップに拘ることで奇妙な密室感を漂わせた。

 音世界はガッチリ。シンセとハーモニー、打ち込みリズムに囲まれ固められ隙が無い。
 頑固な小宇宙を構築し、しっかり防御を固めてる。
 
 本盤のゲストは(3)(7)で同郷メルボルン出身SSWのCLEPOLD。
 (4)はテネシーのバンドBasecampのメンバーAaron Millerと、LAの女性黒人シンガーGavin Turek。(11)にはテネシーのバンドFuture Unlimitedが参加した。
 それぞれが2015年かその数年前にデビューしており、当時の新人を起用して相互に盛り立てようって判断か。なぜテネシーに親しいのかも不明。

 ただし彼らのゲスト曲もスパイスに留まり、アルバム全体のイメージはあまり変わらない。
 べったりとシンセやハーモニーが塗り潰して色合いは統一されている。

 和音感にひねりを入れ、ポップなメロディを弾けさせずエレクトロの画一性に沈める。病んだアプローチながら、ダンディズムや衒学性は薄い。興の赴くままDJ的に楽曲を紡いだ。

 強烈なビートが欲しい。はじけたグルーヴが欲しい。もっと甘くポップスを追求して欲しい。ないない尽くしにも聴ける。
 エレクトロ・ポップにハーモニーのセンスを足して、無機質なダンス・ソングとして気だるげに聴くも良い。なんとも微妙な立ち位置が面白い。

Track listing:
1 American Dream 3:40
2 Real Slow 4:47
3 Love Like Mine 4:11
4 Cellophane (So Cruel) 4:26
5 Wild Motion [Set It Free] 5:35
6 (Into The Night) 1:49
7 Colours In The Sky 4:11
8 All It Ever Was 5:42
9 (Maybe I Need You) 1:19
10 Out Of Sight 4:48
11 Stranger 4:07
12 Who Is Gonna Save Us? 4:15
13 (Happy Without You) 2:24
14 Another Rise 5:12
15 Forever Ever? 6:05

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