David Sylvian and Holger Czukay 「Flux + Mutability」(1989)

 即興で様々な音を幻想的に重ねた、少し耽美でつかみどころ無いサウンド。

 ジャパンのデヴィッド・シルヴィアンとのコラボ2作目で、"Plight & Premonition"(1988)に次ぐ作品。本作でもCANつながりで(1)でヤキ・リーベツァイト、ミヒャエル・カローリ、マーカス・シュトックハウゼン(作曲家シュトックハウゼンの息子)が参加した。
 クレジットこそシルヴィアンとシューカイだが、他のCAN勢もしっかり音楽構築に貢献した。

 フリージャズの激しさは無いし、テンポ感は一定だ。だがメロディからアドリブの展開でなく、テクノ的なビートに波打つように音楽が重なり、引いていく。
 アンビエント寄りのサウンドだし、少し混沌だが寛ぎにも使える。その一方で凛々しく精緻に組み上げる理性もたっぷりとこの盤には詰まった。

 決してフィーリング一発の垂れ流しではない。緻密に隙間を埋めつつも広がりある音像を作ってる。
 音像の主導権はシルヴィアンとシューカイ、どちらだろう。

 (1)はわずかにギター・ソロめいた場面もある。どちらの演奏やら。幾層にも短いフレーズが重ねられ、決して特定の一人が目立たない。あくまでも音像全体のムードを大切にした。

 (2)はビート感が希薄になり、浮遊するイメージを強く出した。サスティンを効かせたギターとシンセが混ざり合って、ふくよかで煙る質感を表す。
 ゆるやかな旋律は残響の海に沈む。一定のテンポ感は常に残しながら。

 どちらの曲もミニマルな構造を持ちながら、サウンドの質感がドラマティックだ。テンポは変動せず表情や風景はくるくると変わっていく。実に気持ちがいい。
 
Track listing:
1 Flux (A Big, Bright, Colourful World)  16:52
Flugelhorn - Markus Stockhausen
Guitar [Guitars] - Michael Karoli
Guitar, Bass, Electronics [Radio], Electronics [Dictaphone], Voice - Holger Czukay
Guitar, Keyboards - David Sylvian
Mixed By - Sylvian, Czukay, Tinner
Percussion - Jaki Liebezeit
Voice - Michi

2 Mutability ("A New Beginning Is In The Offing")  21:02
Flute [African Flute] - Jaki Liebezeit
Guitar, Keyboards - David Sylvian
Mixed By - Sylvian, Czukay

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