Lou Rawls 「All Things In Time」(1976)

 低音寄りの広いレンジな味わいある歌声で、全米1位獲得の盤。溌剌とした頼もしさが良い。

 ルー・ロウルズは66年デビュー、本盤は27thくらいのアルバムにあたる。MGMを72年に離れ、ワン・ショットのアルバムを出してた数年後にPIRと本盤で契約した。
 特大ヒットとして"You'll Never Find Another Love Like Mine"を収録。このレベルの売り上げは"Love Is a Hurtin' Thing"(1966)ぶりらしい。
 アメリカでは人気としても、あまり日本で語られない歌手で、ぼくも詳しくない。

 PIRには81年まで在籍。つごう6枚のアルバムを出している。本盤はたぶん、思い切りPIR側も力を込めたのだろう。
 全9曲中、ギャンブル&ハフが(1)(2)を提供、さらにギャンブルは(4)(8)の2曲にクレジットあり。(5)(6)はバニー・シグラーが作曲し、(9)はボビー・マーティンの曲。
 マーティンはアレンジも(1)(2)(4)(8)(9)で担当してる。(3)もフィラデルフィア系の作曲家だ。
 残る(7)は映画"夢のチョコレート工場"(1971)の曲。発売時点でちょいと懐メロ狙いか。

 録音はすべてシグマ・サウンドだが、サウンドは決してフィリー・ソウル一辺倒ではない。冒頭はブルージーに決めた。そのあとはPIRサウンド大会。過去のキャリアを尊重し、昔のファンもそらさない作戦だろう。
 
 計算で何もかも売れ線になるとは限らないが。本盤はすごくうまくいった。上り調子のPIRの力か。涼やかなストリングスや女性ボーカルの分厚いアレンジも、厚化粧すぎない。
 ロウルズは力を抜いた軽やかさを保ちつつ、渋く伸びやかに歌声を響かせた。

 楽曲として、やはりシングルの(2)が抜群のキャッチーさ。だが他の曲も良い作品ばかり。洒落たうえ、ダンディズムもいい感じで余裕ある。
 若者向けのダンサブルなソウルから、まさに(7)のじっくり歌い上げる渋さも兼ね備えてる。ベテランの貫禄が、PIRの勢いと上手く合致した。

Track listing:
1 You're The One 5:20
2 You'll Never Find Another Love Like Mine 4:28
3 Time 2:55
4 Groovy People 3:20
5 Need You Forever 4:38
6 From Now On 4:57
7 Pure Imagination 3:43
8 This Song Will Last Forever 5:08
9 Let's Fall In Love All Over Again 4:02

関連記事

コメント

非公開コメント