Sonny Sharrock 「Seize the Rainbow」(1987)

 がっつりハードロックとブルーズを取り入れたジャズ・ギター。

 今では特段珍しくもないが、80年代いや90年代前半くらいまでエレキギターでがうがう噛みつくハードなジャズのアプローチは珍しかった、らしい。現場のライブハウスは知らないが、レココレ誌を読んでたら「次世代のジャズ」としてもてはやされてた印象あり。
 ジャン・ポール・ブレリーと双璧で語られたてたイメージある、ソニー・シャーロック。マイルスの"A Tribute to Jack Johnson"(1970)に参加で名をあげ、同時期にソロ活動も始めた。本作は6thリーダー作のようだ。前作"Guitar"(1986)に続き、NYのインディ・レーベルEnemyからのリリース。
 同時期にシャーロックが参加したラスト・エグジットがこのレーベルから出ており、その流れだろう。
 この続作"Live in New York"(1989)はレココレ誌のレビューで知ってたが、本盤は後追い。レコ屋でたまたま見つけた。

 サイドメンは当時のシャーロックのレギュラー・バンドかな。次作"Live in New York"も基本は同じメンバーだ。
 2ドラム編成でシンプルだが骨太なアンサンブルを作る。リズムの多彩さと言うより、さざ波のように降り注ぐビートを表現したかったようだ。ビル・ラズウェルが共同プロデュース並びに(7)でベースを弾いている。

 いい意味でも悪い意味でも、今の耳で聴くと新鮮味がない。当時はフュージョンで音色やパンチ力は別としても、エレキギターは一般的だった。それよりもっとワイルドさで、がっつりジャズを演奏が当時は新鮮だったろう。
 だが今は、特に日本だとこの手のエレキギターのジャズは様々なミュージシャンが方向性を様々に深めており、どうにも特徴に欠ける。
 
 ならばモダン・ジャズのような古めかしさがあるかというと、そこまで古びてもいない。先駆者だったが、斬新さは音楽への姿勢よりもサウンドだった。そのため、時代を超えた鋭さって観点だと、ちょいとモッサリ。
 むしろチョッパーを野太くばらまくメルヴィン・ギブスや、細かいスティックさばきを披露する二人のドラムのほうが普遍的なスリルあり。

 だがつまらなくはない。ブルーズさを基本に、わかりやすいメロディをばら撒くエレキギターは頼もしくもポップだ。歪ませた音色を震わせながら、確かなテクニックで賑やかに空間をシャーロックは切り裂いていく。

 プログレ的なキメを織り込み、ダイナミックな展開と剛腕な切れ味は当時のNYジャズの先鋭として生き生きした魅力を放ったのだろう。
 泣きのフレーズに頼らず、ジャズの語感にも沿わない。ロック的なアプローチだが、フレージングはもう少し複雑。かといってフュージョンのスマートさやテクニカル志向とも違う。

 カテゴライズを試みると、どこからも弾けてしまう。いわゆるインプロを目指す抽象性にも収まらない。一世を風靡したNY流の鋭いジャズ・ロックなサウンドは、不思議な存在感を出す。
 手癖、なのかな。シャーロックの節回しは独特だ。音色やスタンスを気にせず、ソロの音選びに着目すると、興味深い。こういう聴き方は邪道だし、だからこそ本盤を手放しで評価は難しい。 

 アルバムは廃盤で高値がついてるが、MP3だと廉価で本盤は聴ける。

Track listing:
1 Dick Dogs 5:10
2 My Song 6:25
3 Fourteen 9:55
4 J.D. Shaa 5:37
5 Seize The Rainbow 4:32
6 The Past Adventures Of Zydeco Honeycup 5:22
7 Sheraserhead's High-Top Sneakers 4:07

Personnel:
Pheeroan Aklaff - drums
Melvin Gibbs - bass guitar
Sonny Sharrock - guitar, production
Abe Speller - drums

Recorded at Electric Lady Studio, New York City, May 1987.
Produced by Sonny Sharrock.
Bill Laswell is also playing bass on track 7.

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