Incorporated Thang Band 「Lifestyles of the Roach and Famous」(1988)

 当時のP-Funkツアー・メンバーによる派生ユニットが残した、唯一の盤。

 発売当時の88年はP-Funkにとり雌伏の時代。クリントンは細々とソロ名義でアルバムを出すも、地味なリリースを強いられた。ツアーでは頑張ってたのかもしれない。
 ブーツィが"What's Bootsy Doin'?"(1988)でデジタル仕掛けの派手さで復活を図り、同時期にレコ屋に並んだのが本盤だった。

 プロデュースはブーツィとクリントンの連名。ゲスト・ミュージシャンにはP-Funkのメンツがずらり並んだ。いちおう別バンド名義だが、実質はP-Funkと変わらない。
 サックスが聴こえる割にクレジットが無い。実際はもっと多くのメンバーが参加だろう。
 
 作曲や演奏に元SlaveのSteve Washingtonが名を連ねた。他の曲もクリントンやブーツィの名も目立つ。
 メンバーの個別活動をクリントンらがバックアップというより、クリントンの肝入りな疑似バンドかも。P-Funkのブランドを効果的に復活させるべく、周辺を広げようとしたとか。
  
 なおアルバム・タイトルは"Lifestyles of the Rich and Famous"のパロディだそう。
https://en.wikipedia.org/wiki/Lifestyles_of_the_Rich_and_Famous
 時代を席巻したプリンスの影響っぽい、野太いシンセのシンプルなビート感もある。だがこれはP-Funkやザップの流れと読むのが自然か。
 アルバム全編を覆うのは、少し重たいグルーヴ。無邪気に発散したハッピーな雰囲気を演出ではない。もう少し不穏な空気が漂った。この辺が売れ線にしては煮え切らない。クラブ的な薄暗さをターゲットかもしれない。

 P-Funkらしい雑駁さとも読める。(4)のハーモニーの絡みや(5)の前のめりっぷりとか、特に。そうなると打ち込みビートの賑やかさが違和感として残る。
 生演奏のダイナミズムとデジタルのタイトさ、昔ながらのP-Funkスタイルと流行のファンクネス。それらの融合を探る、実験作を若手を使い作ってみた、かもしれない。

 プレミアこそついてないが、廃盤らしい。時代の仇花として聴くには面白いと思う。見つけたら、一聴の価値あり。

 P-Funk不遇の時代に、リアルタイムで聴けた貴重な盤だった。曲ごとにアレンジを微妙に変え、いろんなスタイルのファンクを提示した。


 (1)と(3)がシングル・カット。シングルのカップリングは当時の流行りに沿って、別ミックスがずらりならぶ。全部まとめて再発、とか無いかな。

Track listing:
1 Body Jackin' 5:57
2 Storyteller 4:43
3 Still Tight 5:25
4 Androgynous View 4:17
5 Jack Of All Trades 4:37
6 I'd Do Anything For You 3:48
7 What If The Girl Says Yes? 5:32
8 44-22-38 6:29

Personnel:
Lige Curry - Lead vocals, bass
Andre Foxxe - Lead vocals, guitar, keyboards
Patrick "Boogie" Drummond - Vocals, keyboards
Robert "Sly" Garrett - Keyboards, Vocals
Chris Bruce - Guitar
Dean Ragland - Drums
Claudia White - Vocals
Angel Keener - Vocals

Keyboards/Synthesizers: Michael Lane, Steve Washington, Justin Kace, Tom Norton, Joseph Fiddler, Robert Johnson
Guitars: Steve Washington, Bootsy Collins, DeWayne "Blackbyrd" McKnight, Garry Shider
Bass: Bootsy Collins, Steve Washington
Snyth and Drum programming: Justin Kace, Bootsy Collins, Andre Williams, Steve Washington, Michael Lane
Vocals: Garry Shider, George Clinton, Tracey Lewis, Robert Johnson, Sandra Feva, Pat Lewis, Lloyd Williams, Joe Harris, Sheila Washington, Jessica Cleaves

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