Kenny Drew 「Kenny Drew Trio」(1956)

 冒頭こそ熱いが、全体ではスッキリしたアルバム。

 リバーサイド移籍発のリーダー作で、自己ディスコグラフィーでは5thリーダー作かな。活動初期の作品。
 まず冒頭のエリントン作(1)の盛り上がりが聴きもの。野性的な勢いと押しまくるリズム隊、軽快に走るピアノのフレーズでぐっと盛り上がる。エキゾティックな旋律の勢いと、パワフルなビートの産むグルーヴはひたすら痛快だ。

 だがアルバム全体でみると、むしろこの熱気は異質。他の曲は隙間が多く滑らかで小粋なピアノ・トリオが楽しめる。
 和音を的確に使うピアノが、音像にふくらみを出した。フレーズを硬質ながらたっぷり歌わせる崩し方で、クールだが情緒を持った味わいを作る。

 アップテンポな(3)や(4)でも同様にリズム隊は押し気味ながら、(1)ほどの爆裂は無い。要は楽曲の色合いに沿って、アレンジや演奏のアプローチを丁寧に変えている。
 弾むファンキーさは全曲に共通。しかし力押しはしない。あくまで調和やバランスを意識したプレイだ。

 8曲中、オリジナルはジャズの支援で有名だったニカ男爵夫人、キャサリーン・アニー・パノニカ・ド・ケーニグスウォーターに捧げた(7)のみ。あとはスタンダードとモンクの(3)、ハンク・モブレー(4)と、これまたバラエティさと耳あたりの良さを意識した選曲だ。

 ポール・チェンバーズとフィリー・ジョー・ジョーンズと一流ジャズメンを脇に据えて、いや胸を借りるように硬軟取り混ぜのびのびと演奏した盤。
 どんな方向へ行ってもリズム隊は崩れずしっかりとサウンドを支える。そしてドリューはここぞとばかりに熱い疾走から小粋な洗練さまで一枚のアルバムに封じ込めた。聴きやすい盤と思う。ただ(1)と他の曲の落差が凄いかな。

 一夜限りのセッションではない。二日間に分けて行われた。とはいえこのメンバーを継続的に維持したバンド活動までは至らなかったようだ。

Track listing:
1 Caravan 4:52
2 Come Rain Or Come Shine 6:06
3 Ruby, My Dear 5:43
4 Weird-O 4:03
5 Taking A Chance On Love 4:39
6 When You Wish Upon A Star 5:16
7 Blues For Nica 5:29
8 It's Only A Paper Moon 6:25

Personnel:
Kenny Drew - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded in New York; September 20 and 26th, 1956.

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