Thelonious Monk 「5 By Monk By 5」(1959)

 溌剌な金管の響きが、むしろ寛いだムードな印象の傑作。

 57年、58年と次々にアルバムを発表したモンク。そして本盤は6月1日、2日、4日と3日間のセッションを重ねて作り上げた。コルネットとテナー・サックス、二本立てのアンサンブルで、寛いだリズムに野太いホーンのアドリブが乗る。

 本盤参加者は過去それぞれにモンクと共演歴はあるけれど、時系列でディスコグラフィーを眺めても、今一つ共演ストーリーが浮かばない。その場その場で、気の合うメンバーと吹きこんでたのかもしれない。

 ただしNYでのスタジオ録音へ、本作からモンクは距離を置いた。翌年60年のセッションは1回のみ。61年の録音はすべてヨーロッパ。62年まで数年間、モンクは自作の録音をNYで行わなかった。思うところがあったのか。
 音楽的な理由か、別のもっと卑近な理由かは知らないけれど。

 2管のハード・バップな編成を取りながら、勢い一発のバトルとは少し違う。あくまでスイング感が肝。この辺がモンクの好みか。アドリブ合戦やホーンの見せ場に軸足を置かず、ピアノを根底に置いた構築美にこだわりを感じた。
 
 がっつり疾走もできたろう。しかしドラムがスッと抜いて、ピアノがじわり抑える。ベースは背後で静かにたたずんだ。リラックスとは違う。奇をてらったエキゾティックさでもない。
 危なっかしいたどたどしさ。穏やかなスリル。そんな感じ、かな。
 
 今はボートラがついてわかりづらいタイトルになってしまったが。5人で5曲、モンクの作品を描いたアルバム。それなりにソロ回しの時間もとっているため、一曲は6~10分とスペースはしっかり確保した。

 グルーヴはぎざぎざ。尖ってはいない。でも流麗とは言いがたい。どこかジグザグに揺れる。コルネットとテナーの乾いた響きが無闇に抒情に寄り添わず、淡々とモンク流のスイング感を強調した。

 熱く燃えないが、まっすぐに生き生きとフレーズを弾けさせるコルネットの響きが良い。影のあるモンクの風景に、涼やかな風を吹かせた。
 テナーはところどころ音を軋ませながら、むしろ無邪気だ。コルネットのように意識をせず、このアンサンブルで自らの心地いい立ち位置を見つけ、そこで無造作に自己表現をした。

Track listing:
A1 Jackie-ing 6:01
A2 Straight, No Chaser 9:16
A3 Played Twice 7:55
B1 I Mean You 9:43
B2 Ask Me Now 10:43

Personnel:
Thelonious Monk - piano
Thad Jones - cornet
Sam Jones - bass
Charlie Rouse - tenor saxophone
Art Taylor - drums

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