Red Garland 「The Nearness Of You」(1962)

 スリルは無い。歳のわりに老成した穏やかなアルバム。

 61年11月の録音。レッド・ガーランドが38歳の録音。今ではまだバリバリの年齢だが、当時だとベテランの域かも。刺激よりも安定を求める時期か。当時の活動状況は不明だが、このメンバーはライブを重ねて録音、ってわけじゃなさそう。
 ベースのLarry Ridleyはガーランドの一回り下で24歳と若手。ガーランドとは本盤のみの付き合いのようだ。リーダー作は少ないが、のちにさまざまなアルバムで100枚以上もサイドメンを務めた。
 
 ドラムのFrank Gantも本の盤録音時点で30歳。本盤の数年前から吹きこみの記録あり。やはりリーダー作は少ないが、Ahmad Jamalのバンドを中心に数十枚のサイドメンで参加した。ガーランドとは本作のあと、2枚の録音あり。
 ガーランドが新たな自分のバンドを探してた時期なのかも。

 とはいえ録音は何とも大人しいムード。全曲がスタンダードを選び、演奏もまったりとソフトなイメージだ。全体的に音域が上のほうを使って、ファンキーさより繊細っぷりをアピールするかのよう。
 ただし流麗なカクテル・ピアノに向か合わず、どこか武骨な味わいが残る。それがガーランドの個性か。

 演奏は全般的にしごくおとなしい。サイドメンも破綻無く静かにまとめた。スリルは無く、むしろBGMに向く穏やかなロマンティックさを狙った。何もジャズは熱く燃えたつのが真骨頂ではない。これはこれ、と受け止めよう。

 ジャズは既に力を無くしていたのだろうか。ガーランドのキャリアが違う方向へ向かっていたのか。プレスティッジとの契約が60年に終わり、Jazzlandと61年に契約。"Bright and Breezy"に続く盤が本盤となる。

 なおJazzlandはリバーサイドのサブ・レーベル。リバーサイド本体が72年にファンタジーへ身売りの際に活動を停止した。
 ガーランドは本レーベルへ他に"Solar","Red's Good Groove"を62年に出し、MPSやXanadu,Galaxyなど様々なレーベルを渡り歩くことになる。

 このアルバムで、ピアノのタッチはしごく柔らかい。ブルーズ感覚もぐっと脂っ気を抜いて、しとやかな世界を描いた。
 一直線に進まずタメを作ってゆったりとグルーヴさせる。スイングする小気味よさより、粘らせた。しかし影は作らない。風景は優しい。ある意味で、万人受けするジャズ。

Track listing:
1 Why Was I Born? 4:51
2 The Nearness Of You 5:34
3 Where Or When 6:09
4 Long Ago And Far Away 3:54
5 I Got It Bad (And That Ain't Good) 5:17
6 Don't Worry About Me 4:40
7 Lush Life 4:15
8 All Alone 4:58

Personnel:
Red Garland - piano
Larry Ridley - bass
Frank Gant - drums

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