Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O. 「Power House Of Holy」(2006)

 代表曲"Pink Lady Lemonade"をじっくり聴かせるライブ盤。

 06年4~5月の北米ツアー"The Other Side of the Sky"の、ツアーCDとして自主製作盤。
 音源は2年前のツアーから、(1)が04年6月6日のLA公演。(2)は同年10月30日にイギリスはグロスター公演の音源を使われた。
 
 録音時点の04年も発売された06年も、同じ4人編成。シンプルだが骨太なサイケ・ロックを聴かせる。収録曲は双方とも代表的な曲。あれこれ聴きたい気持ちと、長尺をじっくり聴きたい気持ち、アシッド・マザーズを聴くときには双方の興味がつのる。
 本盤はがっつり長い尺で楽しめるコンセプトで収録した。

 (1)は音質がけっこう荒っぽい。リフが積み重なり、しばし津山が歌声を唸らせたあとは河端の混沌としたギター・ソロに雪崩れる。歪み、軋み、高まっていくエレキギター。
 リズムは震えながら、がっつり太いベースと奔放に暴れるドラムが独特のグルーヴを作る。最後はタメを作りながら緩やかに着地した。シンセが踊り、ギターは吼え続けた。

 (2)はAMTきっての名曲。24分もの長尺だが、変化しながら多様な表情を見せて全く飽きない。単音二つを続けるシンプルなギター・リフ。残響が和音を連想させ、ディレイ風の派生メロディも脳裏に浮かぶ。さらにアルペジオ風のフレーズ感も漂った。
 単純なメロディなのに、いかようにも膨らむ多様性を秘めている。

 どうやって演奏だろう。シンセを弾きながら東がギター・リフだろうか。最初にリフをディレイ・ループさせ、アドリブを河端が足してるのか。(1)よりいくぶんクリアだが(2)もざっくりした音質だ。ベースは常に響き続けており、津山がリフを弾いてるわけではない。
 
 酩酊感あふれるテーマをじっくりと。テンポは加速しなくても、気分的にどんどん高まっていく。ふわふわと音が浮かび、前のめりのドラムとフレーズがうねるベースのリズム隊が、ギターの着実なドローンをぐいぐいとかき混ぜた。
 
 やがてベースがソロ風に旋律を奏でる。決して前に出すぎないが、存在感はばっちり。畳みかけるフレーズが痛快だ。
 じわじわとテンポが速くなり、ギター・ソロが始まる。雄大で奔放に。
 
 中盤でノービートになりギターのディレイが漂う飽和状態に。リコーダーっぽい音色は津山の演奏か。
 ディレイの波が荘厳な世界を作り、その残響感を背後に津山が唸る歌を始めた。トラッドと日本っぽい抒情性を混ぜて独特の世界を描く。ホーメイをやってるのは河端かな。
 そして再びバンドが炸裂。クライマックスへ流れる。
 決して弾きっぱなしのジャムではない。即興でメリハリある流れを作った。充実したライブの様子が伺える。まさにツアーCDとしてざっくりと作ったアルバムであり、これがAMTの代表作とは言わない。しかしAMTの魅力を上手く表現した一枚なのは確か。

 録音日についても触れておこう。
 6月6日は米&カナダ"Acid Mothers Temple is back!"ツアー中盤。
 10月30日は英&欧"Minstrel in Galaxy"ツアーの冒頭にあたり、Ochreレーベル10周年を記念したOchre 10フェスに出演時の音源となる。

 IAでは04年のライブは6公演が上がっており、本盤収録の2公演もおそらくほぼフル音源が聴ける。6月6日のほうはサウンドボードだがCDを1枚しか準備が無く、終盤が切れてるそう。10月30日はオーディエンス録音。

 河端の日記によると6月6日はPsychic Paramountとの対バン。ステージのモニタが悪いのとライティングに不満を漏らしてるが、ライブは盛り上がったそう。

 10月30日はフェスのヘッドライナーで出演。準備されたアンプがお粗末と日記では漏らしている。本盤収録は本編クライマックスで演奏された。
 AMTのツアーは大名旅行ではなく地に足の着いた活動なため、トラブルが色々と大変そうだ。とはいえトラブルを逞しく乗り越えながら、食事をメインにした河端の日記はとても面白い。10年以上も続いており今では貴重な資料にもなっている。

Track listing:
1 Dark Stars In The Dazzling Sky (Aka. Dark Star Blues) 14:29
2 Pink Lady Lemonade 24:49

Personnel:
河端一 : guitar. chorus, speed guru
津山篤 : monster bass, vocal, cosmic joker
東洋之 : synthesizer, guitar, chorus, dancin’king
小泉一 : drums, sleeping monk

Recorded live at Spaceland, Los Angeles on 6th June 2004 (track 1), and at Guildhall, Gloucester on 30th October, 2004 (track 2).

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