Bobby Timmons 「This Here Is Bobby Timmons」(1960)

 ハード・バップを溌剌と録音した。ジャンル立役者の素直な自己発露だ。

 一世を風靡した大ヒット曲なアート・ブレイキーの"モーニン"。作曲者であり、当時の盤で演奏もしたボビー・ティモンズは再び本盤でこの曲を取り上げた。ピアノのサウンドはそのまんま。本人だから当たりまえ。
 
 武骨で粘る太い響き。荒っぽさの奥に温かさが残る。オリジナルは58年。2年前だから、古めかしいってのは厳密には言い過ぎ。本盤録音の60年時点でティモンズは25歳。昔を懐かしむ歳でもない。この時点でまだ、メッセンジャーズに参加もしてた。
 ボスのくびきを離れ、伸び伸びと録音が本盤か。

 サイドメンは同世代のサム・ジョーンズとジミー・コブ。むやみに尖らず、自分らの武器となったハード・バップを寛いで演奏してる。
 リーダー作として本盤は2枚目。リバーサイドと初契約の盤であり、気負いはあったかもしれない。しかし演奏に妙な気負いや仕掛けは無い。金太郎飴であり、無造作だ。

 アドリブを延々続けるスタイルはとらず、9曲を詰め込んだ。もっと欲張ってソロを弾き倒しもできたのに。
 その分、オリジナル曲は4曲と多め。全曲もしくはほとんどを自作でって埋め尽くさぬところは、遠慮なのか当時のビジネス・スタイルなのか。

 エリントンを2曲選曲が目立つ。しかも(3)は独奏だ。オーケストラでなくピアノ・トリオのシンプルな編成で、曲を歌わせる自信がティモンズにあったのだろう。確かに素敵な演奏を披露した。

 最初と最後をオリジナル曲で固め、一つのコンサートみたいなまとまりある構成を作った。本盤へ収録した以外の録音は残ってないようだが、二日間かけてじっくりとティモンズは楽曲を紡いだ。

 強烈なダンディズムと、性急にならぬ落ち着き。若いのにえらく落ち着き払ってる。
 指からあふれるメロディを、滑らかにピアノに歌わせた。渋くてかっこいい、ジャズ。

Track listing:
1 This Here 3:31
2 Moanin' 5:06
3 Lush Life 2:27
4 The Party's Over 4:11
5 Prelude To A Kiss 3:22
6 Dat Dere 5:22
7 My Funny Valentine 5:06
8 Come Rain Or Come Shine 4:30
9 Joy Ride 3:58

Personnel:
Bobby Timmons - piano
Sam Jones - bass (except track 3)
Jimmy Cobb - drums (except track 3)

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