Evans Bradshaw 「Look Out For Evans Bradshaw!」(1958)

 小粋さを基調に、滲むブルーズ感覚が楽しめるピアノ・ジャズ。

 リーダーのエヴァンス・ブラッドショウはさほど名が残っていない。リーダー作は本盤ともう一枚、"Pieces of Eighty-Eight"のみ。
 33年にメンフィスで生まれ、58年にNYへ移住後すぐにトントンと本盤を含む2枚をリバーサイドから出した。すぐさま評価を得たのだと思う。

 だが、そのあとが続かない。Wikiによると没年は78年。長生きはしていないが、以降の20年間はどんな活動や暮らしをしていたのだろう。
 もし今なら、Youtubeなどで経歴が辿れたかもしれない。こういう情報流出と補足性の差に、時代の流れを感じる。

 本盤は前8曲。オリジナルはA3のみ、あとはスタンダードや人の曲を並べた。ズート・シムズやハンプトン・ホーズを選んだり、ジャズとブルーズ感覚にこだわったと推測する。

 鍵盤のタッチは柔らかい。冒頭から軽快に指の回るフレージングを聴かせた。だが硬質ながらロマンティックさに陥らない。どこか渋く鈍い輝きをピアノから滴らせる。
 ブラッドショウが本盤を録音は25歳。それにしては、少しばかり老成したピアノだ。
 このあとどんな音楽を奏でたかは知らないが、キャリアを重ねたら年齢相応の円熟味を出したかもしれない。

 サイドメンはGeorge Joynerと"Philly" Joe Jones。歯切れ良いドラマーを起用した。ベースはよく知らないが、ランディ・ウェストンやアーマッド・ジャマル、アル・ヘイグなどと共演歴あり。リーダー作は無い、のかな。伴奏で活躍した人のようだ。
 
 ベースはしっかりランニングする着実なプレイ。シンバルを賑やかに鳴らし突っ込み気味のドラム。そんなリズム隊を相手に、ブラッドショウは基本的に軽快な切り込みを聴かせた。
 だが上っ面の流麗さに留まらない。指を回すテクニックに長けつつも、フレーズやスピード偏重でない輝きがある。逆に言うと、テクニックひけらかしで脚光を狙わず、アドリブの歌心で聴かせる。ビル・エヴァンスを筆頭に、リバーサイドの好みかもしれない。

 ピアノ・ソロでは(7)で思い切り自分に酔うようなタメが、甘くかっこいい。
 トリオ編成だと(3)かな。ぼくの好みがかなり出るが、流暢に指を回す楽曲ならば、オスカー・ピーターソンを聴く。ブルージーにキメた(3)みたいなアンサンブルのほうが素直に楽しめた。

 軽やかなフレーズが弾みつつも、ときどきごくわずか震える。そんな隙が魅力だ。
 とはいえ全体的には小粒で、聴いてる最中の極端な熱狂や聴き終わったときの印象を明確に言語化しづらい。このへんの物足りなさが、若干残る。

 音盤としては本作と、翌年の"Pieces of Eighty-Eight"を1タイトルにまとめた再発盤もあり。


Track listing:
1."Georgia on My Mind" (Stuart Gorrell, Hoagy Carmichael) - 4:04
2."Hallelujah!" (Vincent Youmans, Leo Robin, Clifford Grey) - 5:37
3."The Prophet" (Evans Bradshaw) - 7:25
4."Love for Sale" (Cole Porter) - 4:26
5."Coolin’ the Blues" (Hampton Hawes) - 6:55
6."Blueinet" (Zoot Sims) - 7:35
7."Angel Eyes" (Earl Brent, Matt Dennis) - 4:58
8."Old Devil Moon" (Yip Harburg, Burton Lane) - 2:53

Personnel:
Piano - Evans Bradshaw
Bass - George Joyner (tracks: A1 to B2, B4)
Drums - "Philly" Joe Jones (tracks: A1 to B2, B4)

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