Randy Weston 「Get Happy With The Randy Weston Trio」(1956)

 強いタッチのピアノに雄大さが滲む。スタンダードを多数、採用しつつも骨太いスタイリッシュさが特徴だ。

 アフリカン・ジャズのイメージが強いランディ・ウェストンが55年に録音したピアノ・トリオの盤。デビューして3枚目のリーダー作で、初のLP盤かな。その前の"Cole Porter in a Modern Mood"(1954)と"The Randy Weston Trio"(1955)は10"盤のようだし。
 55年8月29日と31日、二日に分けて録音された。わざわざ中一日あけたのは、誰かのスケジュールの都合か。

 ベースのサム・ギルはデビュー盤からの付き合い。しかし本盤のあとは録音として共演は無いみたい。
 ドラムは前作のアート・ブレイキーに変わって、格落ちなG.T. Hoganを起用した。彼とはこのあと"Uhuru Afrika"(1960)まで数年間、断続的だが共演は続く。

 全10曲入りの本盤は、7曲のスタンダードを取り上げた。あと1曲はギルの作品。ウェストンは2曲のオリジナル作品提供にとどまった。まだ個性は極端に出さず、オーソドックスなピアノ・ジャズを狙ったのかもしれない。

 聴いてて印象に残るのは、パワフルな音色。繊細や洗練の小粋なスイングさを狙いつつも、ピアノの芯は硬く太い。ナタでばっさり切るような潔さと、がっしり確かな音色だ。
 決して荒っぽいわけではない。音量は幅広く、そっと柔らかく鍵盤を弾くところだってある。けれども、それでもピアノの頼もしさが溢れた。確かなグルーヴで、スマートかつ力強くスイングする。

 例えば(5)。冒頭の突っ込む和音感を元に、音色は柔らかい。けれどもじわっと暖かい響きは、どこか強い存在感がある。けっしてメロウに流されない。甘くふんわりって方向と逆ベクトルだ。

 ドラムとベースは悪目立ちしない、着実なバッキング。そこかしこで訥々としたソロも入れた。
 テンポはスローからアップまで幅広い。曲調も少し影を持ったムードが共通するが、バラエティに富んでいる。むしろ引き出しの多さを見せようと模索したかのよう。

 そう、小器用さが感じられない。何をやっても独特の野暮ったい逞しさが滲む。
 あまりウェストンが我を張らず、オーソドックスなピアノ・トリオを狙ったって位置づけか。
 それでもなお、滲むタッチの強さが個性であり強み。不器用さが吉と出た。

 キャリアの中でワルツにこだわるのもウェストンの特徴らしいが、本盤では4ビート・ジャズの連打。特段、特定のリズムや形式にこだわってはいない。

 ぼくはさほどウェストンのアルバムを聴いてない。だからどの辺から独自路線を出してきたか分からない。少なくともこの盤では、まだ周りに併せようとまじめなジャズ狙いな青臭さを感じた。しかしその温かさが、なんだかホッとする。小粋ではないが、愚直さが気持ちいい盤だ。変に才能をひけらかしてない。

 もっとも26年産まれなウェストンは本盤時点でほぼ40歳。新人の若々しさを求めるのは、少し違う。遅咲きなレコード・デビューでつかんだチャンスを逃すまいと、そつのなさ、隙を見せない手堅さを狙いか。 
 けっこうウェストンは最初からアフリカンさを売りにしてたんじゃないのだな。

 今回、タワレコ限定10枚組廉価盤"Sunday at the riverside"で本盤を聴いた。CDだと今は単独リリースは廃盤らしい。
 MP3だと単独作からボートラ2曲入りの再発、4in1の廉価盤まで選び放題である。
  

Track listing:
1 Get Happy 3:42
2 Fire Down There 2:51
3 Where Are You? 4:09
4 Under Blunder 3:06
5 Dark Eyes 3:34
6 Summertime 3:56
7 Bass Knows 5:15
8 C-Jam Blues 2:49
9 A Ballad 4:20
10 Twelfth Street Rag 2:59

Personnel:
Piano - Randy Weston
Bass - Sam Gill
Drums - Wilbert Hogan

Recorded in Hackensack, NJ; August 29 and 31, 1955.

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