Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O. 「Glorify Astrological Martyrdom」(2008)

 4人組アシッド・マザーズによる、漆黒ミニマル・リフな重たいサイケ。

 LPはジャケット2種類のバージョンあり。さらに盤面の色違いは4種類あるという。
 20分越えの長尺二曲と、なぜか5分程度の短い作品をまとめた。アルバムのバランス的には長尺二本で成立しそうな気もするが。

 最後の5分程度な曲も、他の長尺2曲とコンセプトは変わらない。むしろ本盤のエッセンスを抽出したかのよう。前触れや脈絡なしにいきなりトップギアから始まった。
 両チャンネルでギターがダブルで暴れ倒す構成で、他の二曲より派手かつ豪快なダビングのアレンジを採用した。

 長尺な2曲のほうは両方ともAMTらしい疾走が基本ながら、重たいリフが繰り返される構造。全編にわたりギター・ソロが続き、歪んだ音色をばら撒いた。アンサンブルをベースがガッシリ支え、せわしなく煽るドラムと軽やかに風景を飾るシンセによるジャムが延々と続くかっこう。
 全体的に暗いイメージが漂う。曲タイトルも心なしか破滅的なテーマが透けた。

 単なる一発録りのジャムではなく、津山と河端はいくつもの楽器を足している。特にギターはソロとリフで厚みを出した。しかし全体のイメージは比較的シンプルだ。そこで4人の音だけでなく、あえてダビングを施すところが河端のこだわりかもしれない。

 暴れ倒すギターを筆頭に、単調さは無い。常に有機的に崩れながらもしぶとく骨太に蠢き続ける生命力にあふれたアンサンブルだ。小細工抜き、頼もしいAMT流の前のめりなグルーヴが滲んでる。
 地獄組に似た逞しくも漆黒のムードな盤。4人のシンプルなアンサンブルでツアーを重ねたことで、この強靭さが出たか。

 執拗にギターがリフを重ね、終盤になるほど煽る強度が高まる。ギターのソロは延々と止むことが無い。分離の良いミックスではあるが、リフとギターが混ざり合い、全ての楽器が溶け合う浮遊した音像はシンプルにかっこいい。息もつかせず一気にテンション上げたまま楽曲は疾走した。メリハリや楽曲のメロディを意識させず、ただただ演奏がぐいぐい続いていく。

 最初に本盤を聴いて一気に底なし沼へ引きずり込まれたら、もはやAMTの粘着力にしっかり絡めとられている。彼らの直観的な魅力を、深く重たくしかし明瞭にあらわしたアルバムだ。

 これもAmazonのMP3では一曲100円ルールに引っかかり、わずか300円で本盤の音源が入手できるお得な状況になっている。


Track listing:
1 Phantom Utopia Or Suicidal Star Wars 21:49
2 Cosmic Soul Death Disco 28:52
3 Stargate Of The Hell 5:00

Personnel:
河端一 : electric guitar, tambura, speed guru
津山篤 : monster bass, voice, bamboo flute, alto recorder, cosmic joker
東洋之 : synthesizer, dancin’king
志村浩二 : drums, latino cool

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