Ruins Alone 「Ruins Alone」(2011)

 肉体と知性が絶妙のバランスでからみあう。曲芸めいたコンセプトをシンフォニック・プログレ路線に昇華させた。
 

 4代目ベーシストの佐々木恒が抜けて緊急避難的に始まったルインズ・アローン。03年くらいから活動開始かな。吉田達也が複雑怪奇な譜割と変拍子のサンプラー演奏に合わせて、ドラムを叩きまくる姿が強烈だった。
 そもそもはルインズのセルフ・カバー的なユニットだったが、結局は新たなベーシストを入れず吉田はルインズ・アローンのコンセプトを追求続けている。

 そもそもルインズの曲は変拍子のリズム・パターンや譜割にメロディを重ねるスタート&ストップのダイナミズムが魅力だった。佐々木時代のルインズはひときわインプロ色を追求して自由度を増した。
 だがサンプラーと言う融通の利かぬ相棒を相手では、むしろ「いかに合わせるか」ってタイトさが先に立つ。ライブを追っていないため、実際の現場でどのような変貌を遂げたかは分からない。

 しかしYoutubeなどを見てると、ルインズのコピーやドラム・テクニックの提示に留まらず、過去のソロや別ユニットの楽曲も演奏して自らの芯となるうえに小回りの利くユニットとしてルインズ・アローンを位置づけているかのようだ。
 少なくとも即興追及ではない、と思う。サンプラー相手の制約を逆手に取り、楽曲を披露しながらコンパクトなショーケースとしてルインズ・アローンは成立した。

 滅茶苦茶に手数の多い吉田のドラミングは疾走感とスリルが持ち味。それがタイトなアンサンブルで成立にルインズの特徴があったけれど、よりクッキリとドラム演奏にスポットライトを当てるアプローチになった。

 従ってライブ演奏ならではの芸で、アルバムには向かないかと思い込んでいた。ルインズ・アローンで活動を始めて8年、ついにリリースがこの盤。
 ルインズではベースとドラムの低音域な疾走、4代目ルインズだとサンプラーやエフェクターを駆使して音域は高くなっていたけれど。本作では鍵盤音色をがんがんに前へ出し、シンフォニックさを強調した。

 吉田流のポップさがそこかしこに聴け、親しみやすいアルバムだ。ボーカルもダビングが重ねられ、サンプラーも一本線でなく和音や絡み合う展開も出す。つまりシンプルなサンプラーとの対決路線の自己模倣に留まらない、一人多重アンサンブルの方向性を強く出した。
 これが多重録音のクリック演奏でなく、機械と人間のデュオなのがミソ。
 (9)や(11)のように鍵盤や弦の音色を前面に出し、ダラブッカとの小規模シンフォな世界観という新たな路線も作っている。

 収録曲は近作に留まらず、幅広いレパートリーを収録した。一曲は短くまとめ、つるべ打ちでアイディアが溢れだす。スピードがせわしなく加速した。
 まず(1)(3)(5)(7)(9)(11)(13)(15)(17)(19)(21)と一曲置きに約半数は新曲を投入になる。これらがひときわ、多彩で自由なアイディアが詰まってる。時にミニマル、時に抽象性。インプロと少し違う、無鉄砲な暴れる内的世界が凄い。

 摩崖仏盤は最後にプログレとハードロック・メドレーも入れて親しみやすさを出した。厳密には(21)とメドレー2曲はLP盤のボートラ扱いかもしれないが。

 旧作もさながらルインズ歴をなぞるがごとし。近作"Vrresto"(1998)から(2)(12)、"Pallaschtom"(2000)より(10)(16)。
 さらに"NG II"(1987)から(18)、"Stonehenge"(1990)より(4)、"EP"(1992)から(20)。
 "Burning Stone"(1992)から(14)"Graviyaunosch"(1993)から(8)、"Hyderomastgroningem"(1995)から(6)。まんべんなく長いキャリアから選曲された。

 サンプラーとの対決という、自由度が低そうな感興を逆手に取った吉田の幅広いアプローチが本盤に詰まった。スタジオ録音ならではの整然さが、ひときわコンパクトなシンフォニックさを強調する。

 なおドラムのピッチは張りつめたカンカン・チューニング一辺倒でなく、楽曲によって音色を少し変えてバラエティも出している。
 高速スティックさばきの圧倒と、スペイシーもしくは複雑玄妙なフレーズの跳躍、双方の観点で楽しめる盤だ。



Track listing:
1 Jemvlesqapp 1:51
2 Laipthcig 1:48
3 Ixzelgriver 2:07
4 Stonehenge 3:45
5 Baxcemgilasz 2:10
6 Hyderomastgroningem 1:15
7 Equesspaldho 2:56
8 Sanctuary 2:01
9 Glaschzenck 3:50
10 Pallaschtom 1:58
11 Ahftsivespha 3:29
12 Dagdad 0:54
13 Villanzyats 1:58
14 Grubandgo 3:24
15 Lockssomblez 1:20
16 Schvostess 1:48
17 Nefestorxiss 2:22
18 Cambodia 1:41
19 Obthecklomtz 3:43
20 Dhaskrive 1:04
21 Notturuno 2:47
22 Prog Rock Medley 2:18
23 Hard Rock Medley 2:13

吉田達也 - drums, vocals, everything

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