Little Walter 「The Best Of Little Walter」(1957)

 しゃがれた電気仕掛けハーモニカが、ビリビリと鋭く空気を震わせる。

 リトル・ウォルターがチェスから初のLP。アルバムの感覚にすっかり慣れた感覚だとデビュー盤がベストってタイトル付けには戸惑う。
 だがシングルの発売が基本だった50年代当時の習慣によるもので、シングルのLP集ってこと。
 そもそも60年代半ばまで、ポピュラー音楽はシングルでの発売が根本。だからアルバムの構成やコンセプトは二の次。この辺を理解しないといけない。
 配信とYoutubeがすっかり主流になった今、逆にアルバムの存在が希薄になり当時の感覚へ、逆に近づく今日このごろとも思う。
 
Track listing:
A1 My Babe 2:52
A2 Sad Hours 2:37
A3 You're So Fine 2:49
A4 Last Night 3:23
A5 Blues With A Feeling 3:08
A6 Can't Hold Out Much Longer 2:59
B1 Juke 2:47
B2 Mean Old World 2:57
B3 Off The Wall 3:01
B4 You Better Watch Yourself 3:23
B5 Blue Lights 3:08
B6 Tell Me Mamma 2:40

 きちんとしたディスコグラフィーがネットでは見つからなかったけれど。Discogsで調べてみた。チェスの傘下、チェッカーからのシングル。

1952 (B2)/(A2):Little Walter And His Nightcaps名義
1952 (B1)/(A6):   同上
1953 Don't Have To Hunt No More / Tonight With A Fool
1953 (A5) / Quarter To Twelve:Little Walter & His Jukes名義
1953 (A3) / Lights Out:  同上
1953 (B6) / (B3):  同上
1954 (A4) / Mellow Down Easy:  同上
1954 Rocker / (A1):  同上
1954 (B4)/Blue Night:  同上
1955 Roller Coaster / I Got To Go:  同上
1956 Who / It Ain't Right:  同上
1956 One More Chance With You / Flying Saucer:  同上
1956 It's Too Late Brother / Take Me Back
1956 Teenage Beat / Just A Feeling
1957 Nobody But You / Everybody Needs Somebody:Little Walter & His Jukes 名義
1957 Boom, Boom Out Goes The Lights / Temperature

 上記で(B5)だけ見当たらない。いっぽうDiscogsにはリイシュー版での録音記録も転記あり。つまりシングルの"Blue Night"と本盤の"Blue Lights"は同じ曲ってこと?インストなので、曲を聴いて判別つかず。
https://www.discogs.com/ja/Little-Walter-The-Best-Of-Little-Walter/release/3437964
A6, B1: 12/5/1952
A2, B2: 10/1952
B3, B6: 1/1953
A3, A5: 1953
B4, B5: 14/7/1954
A4: late 1954
A1: 25/1/1955

 なお今のCDではボートラ3曲入りがおなじみだ。未収録のシングルではなく、(4)(7)(9)の別テイクが入ってる。当時のシングルを追うには、別のコンピなりを探さないとダメ。

 (1)のみウィリー・ディクソン、あとはすべてウォルターのオリジナル。
 エレキギターとドラムにベースのコンボ編成にウォルターのエレクトリック・ハーモニカが乗るアレンジだ。Wikiによると共演者は以下の通り。

Little Walter - lead vocals, harmonica
Muddy Waters - guitar on "Juke" and "Can't Hold Out Much Longer"
Jimmy Rogers - guitar on "Juke" and "Can't Hold Out Much Longer"
David Myers - guitar
Louis Myers - guitar
Leonard Caston - guitar on "My Babe"
Robert Lockwood, Jr. - guitar on "My Babe"
Willie Dixon - bass, producer
Elgin Evans - drums on "Juke" and "Can't Hold Out Much Longer"
Fred Below - drums

 このクレジットが完璧かは知らない。でも数年にわたり、ウィリー・ディクソンがガッチリとプロデュースした様子は伝わる。
 本項はディスコグラフィーの転記でくたびれた。しかしずいぶんシングル切ってるな。売れっ子だったのだろうか。

 前に日記でも書いたが、本盤でもひときわ印象深いのがB1"Juke"。歯切れ良いフレージングと軽快な煙たさが心地よかった。
 今回聴き返して強烈にグッときたのがB5"Blue Lights"。エコーをブリブリにかけて、えらくサイケな仕上がりに仕立てた。録音は54年。いわゆるドラッギーなノリを意識ではなかろう。しかしずいぶん先駆的な曲だとも解釈できる。

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