Art Blakey Et Les Jazz Messengers 「Au Théâtre Des Champs-Elysées」(1959)

 熱く鋭い二管のハード・バップが詰まった。選曲も悪くない。

 59年11月15日に仏シャンゼリゼ劇場でのライブ。ツアーならではの派手な盛り上がりが楽しめる。
 アート・ブレイキーはこの年の秋口にメンバーを交代させた。そのお披露目公演でもある。ブレイキーはメッセンジャーズ名義で同年7月に"At The Jazz Corner Of The World"や、サントラ"危険な関係"を録音した。
  

 その後、ブレイキーはケニー・バレルやベニー・ゴルソンのセッションで数枚を吹きこんで欧州ツアーに出る。2管編成はそのままに、サックスとピアノを変えた。サックスが、ウェイン・ショーター。ピアノがWalter Bishop Jr. 。音源としては、本盤の10日前、11月5日のコペンハーゲン公演が残っている。Amazonで音盤は見つからず。

 さらに帰国し同じメンバーで11月10日に"Africaine"をブレイキーは録音。また欧州へ引返し、フランスでライブが本盤となる。売れっ子だな。
 ちなみに前日の9日から10日にかけて、ショーターはリズム隊だけ変えて、自らの1stアルバムも吹きこんでる。なんと濃密なスケジュールだ。 
 

 そこで本盤。いわゆるクラブ・ギグでなくきちんと観客を入れたホール公演で、演奏もばっちり。録音はモノラル一発のしろものだが、演奏は熱い。

 特徴的なのがA2がリー・モーガン、B2がショーターの曲ってこと。ブレイキーは既に経営的なバンド・リーダーに意識を集中させ、音楽監督はメンバーに任せてた。この時点でショーターがかなりイニシアティブを取っていたのかもしれない。
 演奏はうなりを上げるハード・バップ。煽り立てる賑やかなブレイキーのドラムが蹴飛ばすように煽り、フロント二人は競ってアドリブを吹きまくる。

 スカッとリードミスをかましたりもするが、元気よくショーターは奔放にフレーズをばら撒いた。力を込めて吹いてる。
 モーガンがむしろ派手な盛り上がりやメリハリを付けるアドリブなのにひきかえ、ショーターはむしろ自分の世界を優雅に描いてるかのよう。

 ただしお約束は外さない。4バーズ・チェンジなどのキメはしっかりそこかしこに入れ、ブレイキーもここぞとスティックを振り回す。
 この辺はしっかりエンターテイナーだ。

 冴えわたる新鮮味というより、小気味良く鋭いアンサンブル。少なくとも本盤では新奇さの冒険は控え、以下に盛り上げるかに意識を集中させた。だからこそアルバム全体は元気がよい。
 ショーターが長尺ソロになったとたん、世界がときどき違う世界に向かう気もする。あまり眉間にしわ寄せて聴く盤とは違うが、音の流れに当時の空気を味わうとショーターの意気込みに少し思うところがあるかもしれない。

 アルバムとしてはライブ音源から良いところを抜き出したLPで、当時の空気感を再現は狙っていない。あくまでも「ライブ録音」盤だ。
 
Track listing:
A1 Close Your Eyes 9:35
A2 Goldie 9:00
B1 Ray's Idea 5:00
B2 Lester Left Town 10:45

Personnel:
Lee Morgan (trumpet) Wayne Shorter (tenor sax) Walter Davis Jr. (piano) Jymie Merritt (bass) Art Blakey (drums)

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