Red Garland 「A Garland of Red」(1957)

 溌剌と指の回るガーランドのピアノ・トリオ。

 レッド・ガーランドはテクニシャンじゃないと思ってた。だがこの盤では軽やかに速いフレーズをコロコロとピアノからあふれさす。生き生きと、小粋なスインギーさを味わえるジャズだ。
 メンバーは当時のレギュラー・メンバー。マイルス・バンドから派生した顔ぶれで、テクニックはばっちり。むやみに音を埋め尽くさず、しかしグルーヴはたんまり。いいねえ。
 
 冒頭曲からシンバルの操りっぷりがクールだ。スワッとシンバルをスティックで軽くこする音が、生々しくカッコよかった。
 別の曲ではがりがりとアルコでベースを軋ませる勇ましさも良い。
 何気にアレンジもしっかり施されており、単なるジャム・セッションではない。テーマの展開からソロの行き方などは明確にコントロールされている。

 主役はピアノ。しかしドラムもベースもさりげなく見せ場があり。我を張る斬り合いでなく、優美にソロで自己主張をふっくら花開かせた。

 本盤がガーランドのデビュー・リーダー作。やはり気負いはあったろう。端正に整ったジャズの美学と、さりげなくテクニックを決めるスマートさが味だ。
 8曲中オリジナルは(8)のみ。後はスタンダードを並べた。親しみやすく、それでいて違いが分かりやすい。

 パーカーの(7)を入れたのはビバップもやってたって証明か。音源あるか知らないが、実際はパーカーらと40年代に共演してたらしい。なにせガーランドはマイルスの3歳上で、本盤の時点は34歳。けっこうなベテランだった。
 なおこの曲では少しばかり縦の線がとっ散らかるところが微笑ましい。勇み足っぽいなー。

 ガーランドのアイデンティティは、流麗な指の回りっぷりや冴えた作曲術、先鋭の前衛さにはない。たぶん冒険しないが着実かつ安定したアンサンブルだろう。これは現状維持ではない。いかにエレガントに磨き上げるか。しかもブルージーな感覚を底に秘めて。

 雑駁に吹き鳴らしたり、テクニックひけらかしというわかりやすい荒々しさとは逆ベクトルに飾るのは意外と難しい。クラシックの素養など土台が整ってないなら、なおさら。

 ガーランドのインタビューは読んだことが無い。だが音だけ聴いてたら、そんな連想が浮かんだ。
 頼もしいバイプレイヤー。だからこそマイルスはガーランドを起用したのかも。自分を引き立てる最大の功労者として。
 別にへたっぴなわけじゃ無い。派手に振り回すフレージングは無いものの、ここではけっこうガーランドが弾き倒してる。
 なおほんとはブロック・コードに触れてガーランドを語るべき。しかしぼくに楽典の素養が無い。この肝心なところは、スルーさせてください。

 本盤は56年8月17日に録音。発売は57年1月まで温められた。当時のギグも重ねていたのかな。この組み合わせのまま、ガーランドはこの時期にいくつも音源を残してる。
 自分の名義だと"Groovy","Red Garland's Piano","The P.C. Blues","Revisited!"など。
 他にもJackie McLean"McLean's Scene"やArthur Taylor"Taylor's Wailers"も同じリズム隊だった。しっかりと息の合ったアンサンブルである。
      
 
Track listing:
1 A Foggy Day
2 My Romance
3 What Is This Thing Called Love
4 Makin' Whoopee
5 September In The Rain
6 Little Girl Blue
7 Constellation
8 Blue Red

Personnel:
Red Garland - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

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