Red Garland 「Soul Junction」(1960)

 アウトテイクと思えぬ、ロマンティックで構築美が優れたモダン・ジャズ。

 ジョン・コルトレーンとドナルド・バードを擁するクインテット編成で57年11月15日に録音された。この日は10曲を収録。同日の音源はまず"ALL MORNIN' LONG"(1957)としてリアルタイムに発売された。つまりはアウトテイク。しかし今では本盤のほうが有名かも。
 "ALL MORNIN' LONG"に3曲、本盤に5曲。残る2曲は"High Pressure"(1961)で、本盤と同時期に掘り出された。
  
 そもそもガーランドは57~59年にかけて膨大なアルバムを残している。56年にマイルス・クインテットに在籍して57年にマラソン・セッションを録音。コルトレーン・バンドにも加わった。
 一躍、トップ・ジャズ・ピアニストの評価を得たろうし、器用かつスマートに録音をこなすスタイルも重宝がられたのかもしれない。
 本盤のように一夜のセッションから編まれたアルバムもある一方で、さまざまな日の収録をまとめた盤も当時からある。

 ガーランド個人としては、自己主張やコンセプトに走らず淡々と録音するスタイルだったのかもしれない。マイルスみたいにアルバムごとに明瞭なコンセプトを持ったほうが、全体でみれば少ないか。

 本盤のリズム隊はGeorge Joyner(b)とArt Taylor(ds)。同年8月までのリーダー・セッションではベースがポール・チェンバーズだった。
 しかしマイルス・バンドとの類似性を嫌ったか、はたまたチェンバーズとのスケジュールが合わなかったか。本盤のセッションからGeorge Joynerを起用した。まだ25歳の若手で、その前はB.B.キングのバンドで弾いてたらしい。

 彼は56年にNYへ移住しロリンズらとセッションしてたとWikiにある。あまり共演盤が思いつかない人だが、ランディ・ウェストンやアーマッド・ジャマルのバンドに在籍でリーダー作はないようだ。
 本盤では派手さはないものの着実なグルーヴを支えた。

 彼は結局、この11月15日と同年12月13日のセッションだけ。その次は再びチェンバーズに変わってしまう。要はトラだったのかも。12月のセッションは"High Pressure"(1961)や"Dig It!"(1962)で発掘された。
 58年にもう一度、George Joynerを起用した"Rojo"(1962)もあるけれど、やはり没って2年寝かされた。
 
 さほど手ごたえ無い演奏と当時は判断か?いやいや、演奏は充実してる。
 どこかで耳馴染みあるフレーズが連発されるガーランドのオリジナル(1)を筆頭に、穏やかで味わい深いハード・バップがてんこ盛り。

 スピード上げてスリルを追求しない。ふうわりとガーランドはグルーヴを包む。高らかにホーン隊が映える(3)でも煽らず、優しくピアノを奏でた。
 速い指回しは得意でもないのかな。スインギーに高速テンポの(5)では、速いフレーズをピアノは繰り出すけれど、テクニックひけらかしって感じじゃない。むしろ、モタってリズムへぶら下がり気味。
 
 むしろ(4)のようなバラードこそが真骨頂だ。和音を巧みに混ぜる、ふくよかな響きと滑らかな雰囲気がサウンドを温かくまとめた。
 本盤はあとで発掘なこともあり、ガーランドの意思はあまり本盤に含まれてないのかもしれない。少なくともオリジナルは(1)のみ。あとはガレスピーの(2)と(3)、エリントンの(4)。Vincent Youmansが1920年代に書いた(5)と、一昔前の世代なスタンダードを並べた。

 本盤の魅力はピアノもさりながら、バードのペットだ。華やかに高音をヒットさせるみずみずしさが美しい。コルトレーンのテナーも音色はまずまず。吹きすぎず、痩せすぎず。危なっかしい青白さは無い。ホーン隊が二人とも溌剌かつ躍動感あり。

 とにかくどの曲も演奏に隙が無い。15分にわたってじっくりジャムを膨らませる(1)で地ならしを施し、あとはファンキーなジャズが次々登場だ。全体的にテンポは速め。(4)以外は軽快なビートだ。
 そのわりにガーランドのピアノは落ち着いてる。元気がないんじゃなく、溜めるように。

Track listing:
1 Soul Junction 15:27
2 Woody'N You 6:47
3 Birk's Works 7:34
4 I've Got It Bad (And That Ain't Good) 6:13
5 Hallelujah 6:28

Personnel:
Red Garland - piano
John Coltrane - tenor sax
Donald Byrd - trumpet
George Joyner - bass
Art Taylor - drums

Recorded at November 15, 1957

関連記事

コメント

非公開コメント