Date Course Pentagon Royal Garden 「MUSICAL FROM CHAOS」(2003)

 ライブごとに変貌する第一次DCPRGの魅力を、たっぷり振りまいた。

 菊地成孔は次々にDCPRG関連の盤をリリースした。1st"アイアンマウンテン報告"が01年7月。続くリミックス盤"DCPRG3 / GRPCD1"が02年11月。さらに本盤が03年6月。
 すでに2ndアルバムのレパートリーは02年4月で産まれライブで披露もされていた。
 本盤発売前、"DCPRG3 / GRPCD1"の発売翌月の02年12月29日。大友良英がDCPRGを脱退する。

 だが菊地は次のステップへ容易に進まなかった。ライブで新曲群は封印に近く、1stのレパートリーを重ねてバンドの認知度を深めた。渇望を煽ったともいえる。
 新曲を、新たなDCPRGを聴きたい。だが「アイアンマウンテン定食」の馴染んだサウンドも素敵だ。新しいものか、馴染んだものか。迷いながらも本盤のリリースを楽しんで聴いた。

 本盤の構成は2枚組。Disc 1はDCPRGのトレードマーク、ポリリズムをふんだんに味わう趣向。さらにDisc 2で定番曲を並べ、かつマイルスやビージーズのカバーで新味も促した。
 そもそもは単調かつ飽きそうなDisc 1。さすがにこれだけでは一般ウケしなかろう、とDisc 2を入れたのではないか。アルバム・コンセプトや後年のまとめた評論で概観ならば、Disc 1のみのほうが潔い。まあ、売れないだろうから、2枚組のセンスは成功だ。

 Disc 1の選曲は01年から02年まで幅広い。(3)と(4)は"DCPRG3 / GRPCD1"Disc 2の再録なのでマニアには少々歯がゆい。別の日の音源も入れて欲しかった。"DCPRG3 / GRPCD1"Disc 2は初回プレスのみのため、後追いファンからしたら歓迎と思うが。

 まあ、ものの見事に印象が違う。ライブ音源のため菊地のハンドキューによる抜き出しも聴ける。うねるポリリズム、沸騰と炸裂。抽出から混沌へ。全員が違うループ演奏を施すマルチ・ビートの"Catch 22"の魅力を堪能できる。
 しかし奏者はこれって面白いのだろうか。余計なお世話だが、ずっと気になっている。他の人に釣られず自分のフレーズを淡々と演奏するさまは、修行僧に似たストイシズムを感じてしまい。いざ演奏を楽しむと、そんなことは全く考えないのだが。

 (5)は01年10月と、大友が抜けた日の02年12月の演奏をつなぐ。一曲で第一期DCPRGの時の流れを表現した。
 なお大友が脱退した日のぼくのライブ感想はこちら

 Disc 2はDisc 1と同じ日の音源と思われるが、曲ごとのクレジットは記載なし。唯一、(6)のみ著作権表記から2001.7.12の"NHK Live Beat"用の放送音源とわかる。
 2曲のカバーを挟み「アイアンマウンテン定食」でまとめた選曲は、おなじみの世界感ながら新味もあって楽しい。
 "ビッチェズ・ブルー"とディスコ・ヒットの選曲は両極端ながら、マイルスの世界感とスパンク・ハッピーとの連結も含めて、ごく滑らかに当時は受け止められた。後追いだと、この感覚にどのくらい共感得られるか分からないが。

 おなか一杯な第一期DCPRGによるグルーヴとビートの布教はここで打ち止め。本盤からわずか3ヶ月後、同年9月に"構造と力"で華々しくDCPRGは第二期をリリースの面で高らかにうたい上げた。
 当時の瑞々しい勢いと、ダンディズムが封じ込められてる。

Disc 1
1. Catch 22 (NHK Live Beat 2001.7.12)
2. Catch 22 (Star Pine's Cafe 2001.6.24)
3. Catch 22 (On Air East 2002.4.19) 
4. Catch 22 (On Air East 2002.4.19)
5. Catch 22 (Liquid Room 2001.10.1~Liquid Room2002.12.29)

Disc 2
1. PLAYMATE AT HANOI
2. SPANISH KEY
3. STAIN ALIVE
4. CIRCLE/LINE~HARD CORE PEACE
5. S
6. ホーチミン市のミラーボール

Personnel:
Conductor, CD-J, Keyboards - 菊地成孔

Bass - 栗原正己
Synthesizer, Electric Piano, Clavinet - 坪口昌恭
Drums - 藤井信雄, 芳垣安洋
Guitar - 大友良英,高井康生
Percussion - 大儀見元
Tabla - 吉見征樹
Soprano Saxophone - 津上研太
Tenor Saxophone - 後関好宏
Trombone - 青木タイセイ
Trumpet - 西村浩二, 木幡光邦, 佐々木史朗
Tuba - 関島岳郎

recorded live at LIQUID Room (2001.10.1 & 2003.12.29), ON AIR EAST (2002.4.19), NHK Live Beat (2001.7.12), STAR PINE's CAFE (2001.6.24)

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