Date Course Pentagon Royal Garden 「DCPRG3 / GRPCD1」(2002)

 リミックスとライブ。二面性でDCPRGの本質を横から映した。

 菊地成孔は用意周到だった。"アイアンマウンテン報告"(2001)を発表後、ライブを重ねた。じっくりと認知度を上げ、様々な場所で違う観客へダンス・ビートとポリリズムを体感させた。新曲、二番煎じ、どちらの方向でも次のアルバムのネタは困らない。しかし菊地は安易なリリースを選ばない。じわじわとDCPRGの魅力を、ライブで直接観客へ流し込んだ。

 その一方でリリースを控えもしなかった。ライブでの着実な底上げの一方で、派手な跳躍を見せたのが本盤だ。
 副題でDCPRGのアナグラムは"ジェネラル・リプリゼンテーション・プロダクツ・チェーン・ドラスティズム"の略。いかにも菊地らしい言葉遊びだ。
 レパートリーはそのままに、レイ・ハラカミ、bayaka、オオエタツヤ、永田一直、大友良英、DJクワイエットストーム、dj me dj youと様々な顔ぶれにリミックスを任せた。
 メンバーでもある大友をリミキサーに起用しつつ、他のメンバーや自分自身に解体させないのがミソ。おそらく大友なら客観的かつ遠慮会釈なく再構築と踏んでの起用では。

 DCPRGの魅力はライブだった。菊地が指揮者としてハンドキューでバンドをドライブさせる光景は、しみじみカッコよかった。サウンドも抜群だった。
 しかしアルバムでは魅力を安易に見せない。あえてテクノもしくはブレイクビーツ的に変貌させた変化球が本盤だ。菊地のプロダクションはどこまで関与だろう。リミキサーの選任と曲順で終わり鷹揚に構えて、細かい音には口を挟まなかったのでは。

 だがサービス精神も忘れない。初期プレスのみには、直近のライブ02年4月19日に渋谷On Air Eastでのライブ音源を一枚差し込んだ。その時のぼくのライブ感想はこちら。
http://www.geocities.co.jp/MusicStar-Drum/1400/sound/live_020419b.html
 ~Reduce,Distill,Purify,Teach(圧縮、抽出、純化、教育)~と副題をつけ、「結集せよ」とネットで菊地は観客をアジった。
 この4単語は菊地曰く「ダンス・ミュージックの発生と定着の原理的4行程を指す」。 ダンスの発展過程を表現したもの。無秩序な踊りが圧縮されパターンを抽出、夾雑を純化し教育でステップが継承される、と。

 その時のライブは3時間弱くらいか。エッセンスを本盤のDisc2に入れた。なおこのライブはブラス隊も含め第二期/2ndアルバムのお披露目も兼ねていた。アルバム発売には至らなかったが、新曲はやっていた。

 本来、本盤は予想外だったのかもしれない。菊地はスマートに第二期DCPRGの幕開けが狙いだったのかも。しかし結果的には、本盤のリリースでDCPRGはさらに謎めいた。複雑さを増した。渇望を煽った。
 リミックスでDJ的に解体してもDCPRGの音楽は成立し、その上でDCPRG本体の音楽が欲しくなる。つくづく、戦略的なリリースだ。

 今聴くと、歴史の一場面として本盤を楽しめる。Disc 1はリミキサーの個性があまりに強く、派手に解体してるためDCPRGと別次元で味わうかっこう。だが根底のグルーヴは変わらない。むしろポリリズムの要素が薄まり、シンプルかもしれない。DJ的に解体されたミックスが多く、電子音楽風の振り回しが全編にわたって繰り広げられる。

 Disc2は文句なし。ライブの美味しいところを「アイアンマウンテン定食」できれいにまとめた。冗長さや隙の無い仕上がり。なおかつ荒っぽい勢いも封じ込められてる。
 この日はオールナイト・ライブで眠たかった。冒頭曲のどんよりしたグルーヴが、疲れを加速したっけな。そのうちグイグイ盛り上がったんだけど。

 これまた穿った見方をすれば、2ndへの助走だった。ヘルシーに盛り上がるダンス・ミュージックから混沌を抽出の形で。
 そして菊地は次も、2ndアルバムに至らない。もう一枚、ライブ盤を挟んだ。本当にうまく、聴き手の気持ちを煽って盛り上げていく。当時はもどかしくもスリリングだったな。

Track listing:
Disc 1
1. Catch 22
2. S
3. PLAYMATE AT HANOI
4. PLAYMATE AT HANOI
5. Circle/Line~HARD CORE PEACE
6. Catch 22
7. Pan American Beef Stake Art Federations

Disc 2
1. Catch 22(A~B)
2. PLAYMATE AT HANOI
3. Catch 22(C)
4. Circle/Line~HARD CORE PEACE
5. HEY JOE
6. MIRROR BALLS

Personnel:
Organ, Turntables , Keyboards - 菊地成孔

Bass - 栗原正己
Synthesizer, Electric Piano, Clavinet - 坪口昌恭
Drums - 藤井信雄, 芳垣安洋
Guitar - 大友良英
Guitar, Effects [Filter] - 高井康生
Percussion - 大儀見元
Tabla - 吉見征樹
Soprano Saxophone - 津上研太
Tenor Saxophone - 後関好宏

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