河端一 「Hot Rattlesnakes」(2002)

 ギターを主役にうねりながら花開いていく。籠った世界観が特徴。

 Kawabata Makoto & The Mothers Of Invasion名義で英Paratactileから発売された。再プレスはなかったのか、06年に米Prophase Musicから再発盤がある。

 バンド名もジャケットもザッパを意識してるが、編成や楽曲は特段の共通性はない。たしかに"Hot Rats"(1969)に通じるジャズ・ロックのグルーヴはあるけれど、作曲よりも即興的なジャムの要素が強い。突発的なアイディアなのかThe Mothers Of Invasionで他のアルバムはないようだ。

 バンド・メンバーは津山篤と一楽儀光のトリオ編成。ベーシックのリズムを録り、河端がギターをダビングした。ソロとバックのギター、どちらがダビングかは不明。順当に考えたらギター・ソロだけど。
 リズム隊の録音はぐっと籠らせ、煙ったサイケ性を演出した。ソロの方は少しヌケを控えさせてるけれど、くっきりと聴こえる。
 
 リズムは即興かな。淡々と疾走しながら手数多く一楽が刻み、時に連打のフィルを混ぜる。うねる骨太なベースが上手い具合にハマると、ぐわっと大振りに場面展開するさまがスリリングだ。

 背後のシンセっぽいギターや歪みまくったフィードバックこそをダビングした風にも思えるな。ひたすら続くギター・ソロながら、この流れこそ即興的なセッションで最初に作ってしまい、スカスカを避けてダビングを重ねた風にも思える。
 かなり背後の音は無秩序で奔放だ。これが逆に最初の録音で、あまりに取りとめないためギターソロを重ねた寸法か。うーん、どちらにも取れる。
 なお録音はイギリスと日本で行われた。

 ややこしいことを考えながら聴いてしまっているが、サウンドそのものは痛快で剛腕。
 (1)はひたすら続くエレキギターのソロを軸に、混沌な爆走が続く。中盤以降はぐしゃっと籠った音像で爆走インプロの嵐。アシッド・マザーズ流にテンポは加速した。歪んでスペイシーな音色のエレキギターと、休みなく繰り出すドラムとベースの応酬がたっぷり30分近く味わえる。収斂に向かうダイナミックさもかっこいい。

 (2)では一転してミニマルな展開。エレキギターのフレーズがリバーブたっぷりに繰り返された。これは河端の多重録音かな。ベースの音域も存在するが。
 細やかで素早いフレーズがくるくると繰り返される。ループっぽいが人力かな。ときたまふっとフレーズが揺れた。残響が広がり、シンプルだが浮遊感あるサイケな音像だ。

 淡々と密やかに、しかし力強く音が絡み合う。この構造にロバート・フリップを連想して、こんなタイトルにしたのか。
 二つのフレーズが追いかけあう譜割で、ポリリズミックな濃厚さを出した。

 (3)は再びセッション。
 冒頭は女性の声や馬のいななきがシンセ風のざわついた音の上でコラージュされた。声はサンプリングではなさそうだが、クレジットは無い。何語だろう。やがて男の声も加わった。
 ひとしきり続いたあと、ドラムとベースにエレキギターのソロが炸裂した。方向性は(1)と似ている。主役はエレキギターで、リズムの二人が煽り立てた。
 ただし6分過ぎにグッとテンポを落とし、重厚な凄みを見せるところが(1)と異なる。
 インプロで休みなく猛烈に暴れた。こちらは音がぐっと歪み、細部よりも流れや勢いのサイケっぷりが味わいだ。
 
Track listing:
1 Theme Of Hot Rattlesnakes 27:09
2 Fripian Flipped Over Niffy Their King Of Frippery 10:22
3 French Sweet Suger House 15:31

Personnel:
Bass 津山篤
Drums 一楽儀光
Guitar [All], Composed By, Producer, Engineer 河端一

Recorded at The Moat Studio (London) and Acid Mothers Temple (Nagoya) in May and August 2001.
Engineer Toby Hrycek-Robinson

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