Noise From Trading Cards (1997:Alchemy)

 疾走する秋田昌美のドラムが聴ける非常階段の音源。

 アルケミーから"Windom"(1991)に続き久しぶりのリリースなアルバム。今でこそ膨大なリリースを行う非常階段だが、当時はあまり音源が出ているイメージ無かった。また秋田のドラム演奏も聴ける音源は限られていた気がする。ちなみにいまだに秋田がドラムを叩く姿をライブで見られていない。

 秋田は当初から非常階段と関係をしていた。ロックと破壊衝動な非常階段と、冷静かつ即興的な構築美を意識するメルツバウとは、それぞれ音楽性は異なる。しかしノイジシャン第一次世代として通じるものはあったのだろう。

 本盤は3曲入りで、メルツバウが参加したのは(1)のみ。新宿アンティノックでのライブらしい。詳しいことは不明。

 (2)はJOJO広重とT.美川のデュオとクレジットあり。
 すっきりしたノイズで、むしろ僕の好みとしてはこういうほうが好き。美川の好みらしい超高音の周波数が幾本も伸び、エレキギターの沈んだ歪みと混ざって幅広い音像を作った。

 (3)はサンフランシスコで96年4月8日のライブ。JOJOと美川にJunkoが加わった編成のようだ。なお本盤は再発もあり、2014年にテイチク傘下のReveilから非常階段の一連を再発の一環でリリースされた。 そこにはボートラで"Setting Up"と題された5分程度の小品も含まれてる。


<曲紹介>
1.What A Nuisance! 27:33
Drums - Masami Akita、Electric Guitar - JoJo広重、Electronics - F.コサカイ, T.美川、Vocals - Junko

 ここではメルツバウが参加したテイクのみ細かく感想を書いてみる。といっても非常階段は金太郎飴みたいな安定感もあり、個別に書く意味もあまりない。場所や生き様で音は毎回変わる。しかしポリシーは常に強固でぶれない。

 黄金メンバーな非常階段にサポートでメルツバウが加わった構成。手数多く硬質に叩きのめすドラムが執拗に続く。リズムもパターンもなんのその。力尽きるまでガムシャラにスティックがドラムの上を暴れた。

 サウンドは非常階段そのままで、メルツ階段みたいな企画ではない。メルツバウが加わることでの特異性も無し。むしろメルツバウが非常階段のアプローチに寄った。
 エレクトロニクスが空間を軋ませ、ギターからノイズが溢れる。Junkoが吼えてコサカイらしき男の声も混ざる。

 すべてが混沌でうねりながら弾け倒した。ドラムはその隙間を千切りにするがごとくパルスのドラミングを噴出させた。
 メリハリやストーリー性は皆無で、ただエネルギーの炸裂と持続を酩酊感持ちながら突き進む。

 本当はライブでこそ楽しめる。ただし20分過ぎに電子音がころころときれいに弾むさまが挿入されるあたりは、ちょっと新鮮だった。もっと鋭角で平べったいノイズがばらまかれ続けるのが非常階段ってイメージあったから。
 ボリュームを上げて聴きたい。強打を続けるドラムを超えてノイズのベールが一面に広がってる。

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