Joey Baron + Barondown 「Crackshot」(1995)

 粘っこくも頼もしい。穏やかに構築されたフリー寄りのジャズ。

 ジョーイ・バロンの初リーダー作"Tongue in Groove"(1992)のコンセプトを引き継ぎ、バロンダウン名義で同じ顔触れのアルバム。メンバーは同じ。ジョン・ゾーンが日本のディスク・ユニオンと組んだレーベルAVANTより、前作から3年後にリリースされた。

 前作は短く16曲並べ、ディキシーにも通じる懐かしさとインプロの前衛さの双方を両立させた。本盤では11曲と収録曲は多めだが、ぐっとセッションっぽさを出した。安定感は確かなアンサンブルに変わり、もろのフリージャズに近い。
 95年の8月5日と6日、二日間かけて一発録音で収録。この辺の瞬発力へこだわりは前作と変わらない。

 グルーヴィさを増したのが大きな違い。テンポはむやみに上がらない。ドラムはむしろ地味に刻むだけと思わせる。安定したスティックさばきで、残響を持つ太鼓をカッチリ頼もしく叩く。
 揃ってリフを吹くテナー・サックスとトロンボーンという荒くれな重心低いサウンドを、バロンは実に繊細な手綱さばきでまとめた。力任せではない。しかし細やかすぎる線の細さでもない。むしろガッチリしなやかなスティックさばきが小気味よい。

 決して拍頭をタイトに決めない。むしろズルッとずらし気味。しかしルーズさはなく、着実かつ骨太なリズムを刻んでる。
 前作からこのメンバーでライブも重ねたのかな。ホーン隊のリフやアドリブの役割分担や、ドラムとの絡みっぷりも滑らかだ。これは1996年10月2日にポーランドでのバロンダウンのライブ映像。約1時間にわたる。

 ときおり妙にスカッと隙間の多いサウンドになる。だがそんなときも焦って音を埋めない。むしろ小さい音で空間を楽しんでるかのよう。
 いっぽうで楽器の特性を上手く生かして、(5)のようにトリオ編成ながら妙にヌケの良く分厚い世界も作る。アレンジへグンッと幅が広がった。
 11分にわたる作品も2曲。じっくりと滑らかなインプロも楽しめる。

 本盤には斬り合いの緊張感やあわただしさは無い。むしろ寛ぎと穏やかさが先に立つ。音使いは思い切りフリーだが、決して焦らずジャズを紡いだ。

Track listing:
1 D.B. 5:31
2 Dog 5:31
3 Offering From A Pigeon 4:29
4 Toothpick Serenade 6:46
5 Punt 4:45
6 Games On A Train 11:16
7 Friend 6:30
8 11:58 4:13
9 Oseola 5:49
10 Tantilla Garden 4:43
11 Sittin' On A Cornflake 11:23

Personnel:
Joey Baron - drums
Ellery Eskelin - tenor saxophone
Steve Swell - trombone

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