Kenny Dorham 「Afro-Cuban」(1955)

 盛り上がってきたのでドーハムをもう一枚。早くからラテンへ興味を示してた。溌剌なエキゾティシズムあり。

 ケニー・ドーハムの2ndリーダー作でブルー・ノートでデビュー作。気負う立場でドーハムが選んだのは、ロマンティックなムードを漂わせるラテン・ジャズだった。たぶんけっこう斬新だったはず。
 
 コンガやカウベルを入れて、ドップリとラテンやサルサ風味を取り入れながらも、奏者はバリバリのハード・バッパーたちを並べたところが特徴だ。現地や専門ミュージシャンらと交流でなく、あくまでモダン・ジャズの文脈でラテンを解釈した。

 とはいえバリバリの凄腕ミュージシャンぞろい。破綻せず、なおかつ上手いことラテンを取り入れて生き生きしたジャズを演奏してる。わくわくするファンキーさが詰まった。
 もとは55年の1月と3月に録音して同年に10"で(3)(2),(1)(4)の順にてリリース。57年にLPで再発にあたりA面へすべて詰め込み、B面用に(5)-(7)が57年3月に新録された
 今では"Echo of Spring"と(3)の別テイクもボートラで発掘ある。

 編成は3~4管と大編成。57年録音ではJ. J. Johnsonが抜け、ベースがPercy Heathに変わった。さらにCarlos "Patato" Valdes(conga)とRichie Goldberg(cowbell)もおらず、ぶっちゃけLPではコンセプトがブレている。
 そう感じさせないのがプロデュース・センスというものか。特にCDで頭から聴いてると、方向性の違いは気づけなかった。おれが鈍いだけ?うーん、しかし録音時期を意識して聴くとB面はハードバップ路線が強い。

 ざらっとディスコグラフィーをなぞると、リズム隊のパーシー・ヒースとアート・ブレイキーはもともと数年前より馴染みらしい。メッセンジャーズでホレス・シルバーとも知り合った。
 51、52年はモンクのバンドで活動したドーハムが、自らのキャリアを積み上げたのが53年以降か。そこで顔なじみのメンツを元にラテンの新味を本盤では振りかけた。

 テンポはむやみに早くしない。今の感覚か。前のめりの溌剌さに満ちている。しかしドーハムは遠慮深い。せっかくのブルーノート初リーダー作なのに、他のメンバーへたっぷりとソロのスペースを狙ってる。演奏家というより、作曲家のセンスだったのか。
 LPのシーケンスでは(4)以外はすべて自作。バックビートの効いた、キュートなメロディを披露した。

 ジョン・ゾーンは"News for LULU"で本盤より(5)を取り上げてる。コンボ編成だがビッグバンド・ジャズで映えそうなメロディ・ラインと思う。
 
 本盤のA面は鮮やかな華やかさとパワーを持ち、B面はうっすら影を揺らすダンディさを香らせた。アルバムとしての一貫性はしっかりあり。そのうえで録音時期とメンバーが違う対比を作ってた。

 ドーハムのペットは少し煮え切らぬモゴモゴいうフレージングだ。それがくっきりと自己主張するメンバーの中でいぶし銀のように存在感を持つ。

Track listing:
1 Afrodisia 5:04
2 Lotus Flower 4:15
3 Minor's Holiday 4:25
4 Basheer's Dream 5:00
5 K.D.'s Motion 5:26
6 The Villa 5:21
7 Venita's Dance 5:21

Personnel:
Kenny Dorham - trumpet
J. J. Johnson - trombone (tracks 1-4 and 9)
Hank Mobley - tenor saxophone
Cecil Payne - baritone saxophone
Horace Silver - piano
Percy Heath (tracks 5-8), Oscar Pettiford (tracks 1-4 and 9) - bass
Art Blakey - drums
Carlos "Patato" Valdes - conga (tracks 1-4 and 9)
Richie Goldberg - cowbell (tracks 1-4 and 9)

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