Elf Power 「When the Red King Comes」(1997)

 ひしゃげたポップスで素朴に描いた赤王の物語。

 歪んだギターの音色と全体的に潰れた音像へ、かぼそくも危ういハーモニーが載った。幻想的さは甘さでなく、もう少し喧しいギター中心のロックに聴こえる。実際はもっと軽い響きを狙ってたとしても、ダビングを重ねて崩れた音色が怪しさを強調した。

 エルフ・パワーの2ndアルバムで1st"Vainly Clutching at Phantom Limbs"(1995)の二年後にリリースされた。中心人物のAndrew RiegerとLaura Carter以外のメンバーは変わっている。
 本盤の録音は96~97年に地元のアセンズと、ニューヨークで行われた。単に地元のガレージで遊んでいたわけでなく、それなりにきっちりと作られたようだ。サウンド自体はぐしゃっと潰れた音色だけれど。

 サウンドだけ聴いてると、ギター中心のロック寄りなポップス。ハーモニーを足して少し甘酸っぱい。きっちりドラムとベースが仕事して、バンド・サウンドに仕上がってる。変な和音感やダビング重ねた音像が、密室的なムードを演出してもいるが。

 (6)を筆頭にキャッチーなメロディがそこかしこ。しかしスッキリ整理を狙わず、どんどんダビングして音を潰すローファイなアプローチが本盤の特徴か。
 普通にロック・バンドな展開で行けそうなポップさを持つ曲も、楽器をダビングしてヘンテコな空気を漂わすのが好みらしい。

 エルフ・パワーは今も現役で活動してるが、ぼくはごく初期しか聴いたことが無い。あまり胸を張ってこのバンドの評価ができない。少なくとも本盤では、溢れるアイディアを持て余し、とりあえず詰め込んでみたって贅沢で性急さも感じた。
 総じてキャッチーなロック寄りのポップス集なアルバムと言える。

Track listing:
1 Step Through The Portal...
2 Into The Everlasting Time
3 The Frightened Singers
4 The Secret Ocean
5 The Arrow Flies Close
6 Icy Hands Will Never Melt Away
7 When The Red King Comes
8 The Separating Fault
9 Spectators
10 Introducing Cosmic Space
11 The Bengal Parade
12 Needles In The Camels Eyes...
13 The Silver Lake
14 It's Been A Million Years

Personnel:
Vocal, Bass, Guitar, Keyboards, Sitar - Bryan Helium
Vocal, Drums, Percussion - Aaron Wegelin
Vocal, Guitar, Keyboards, Flute, Zanzithophone, Bass, Percussion - Andrew Rieger
Vocal, Keyboards, Moog, Zanzithophone, Loops - Laura Carter

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