The Olivia Tremor Control 「Black Foliage - Animation Music Volume One」(1999)

 サイケ・コラージュと60年代ポップスの密室的な融合。あんがいノイズ寄りだ。

 エレファント6は世代的に、ちょっとあと。ぼくが大学生のころに全盛期だったら、ずっぽりハマってたと思う。小さい地域コミュニティで入れ代わり立ち代わりメンバーが入れ替わり、なおかつひねり倒したポップスって構図は好みだ。たとえすべて輸入文化だとしても、もし時間とタイミングが合えばものすごく追っかけまわしてたはず。
 
 だが実際のところ99年頃は日本のライブハウスやジャズに興味を持ち始め、輸入盤屋を攻めるのはちょっと落ち着き気味。いや、それなりにエレファント6の初期は買ってたし、聴いてもいた。だが聴きこんでハマるほどには行かなかったな。輸入文化としてのアメリカン・インディはGuided by Voicesが好きになり、それだけで他に手が回らなかったのが正直なところ。

 色々検索してて、ふとエレファント6がらみを聴きたくなった。今、エルフ・パワーがトビン・スプラウトとツアー中ってニュースを知り、なおさら。意外なところでアセンズとデイトンが繋がった。

 とはいえエレファント6は詳しくない。どれが主要グループでだれがキーマンかも、ぱっと頭に入ってない。Wikiによると設立は91年で、設立者は以下のメンバーだそう。
Robert Schneider
Bill Doss
Will Cullen Hart
Jeff Mangum
Hilarie Sidney
Jim McIntyre

 このうち、Bill DossとWill Cullen Hartが参加してたのが、このオリヴィア・トレマー・コントロール。エレファント6のバンド名はとにかくひねって、センスあるね。
ミックスと録音、ダビングがエレファント6の創設者Robert Schneider。というわけで、このバンドが主役の一つとされてたらしい。
 
 彼らの3rdにして最後のアルバム。LP2枚組のボリュームだ。実際は95~98年に4や8トラで録音したものを ロバート・シュナイダーがダビングした構図とある。
 
 (18)のハーモニーを筆頭にビーチ・ボーイズ中期の影響がどっぷりあるし、全編にわたって甘酸っぱいポップスの色も漂う。要はサイケ・ポップ好きの集まりか。ドラッギーな危うさや退廃性がないとこが、例えばシミー・ディスクと異なる。もっと内省的というか、無邪気で知性に走った感あり。

 全28曲入り。ジングルみたいな小品もあるが、根本はC3に代表されるコラージュ感覚。電子音楽の理に走った堅苦しさや、実験性を追求のスリルは希薄だ。ノイズ性を追う破壊衝動とも無縁。もっと無造作に、寂しげなテープ操作の遊びのほうが似合いそう。
 抽象的で唐突な編集のコラージュがアルバムのそこかしこに漂う。その合間にポップスを配置し、さらに小品で埋めた。そんなアルバム。

 テープ操作が激しい曲はかなり極端な展開で、ノイズの耳で聴いたらすんなり馴染む。けれどもむしろスカム寄り。コンセプトや主張はパッと聴き取れない。芸術狙いのダダイスムとも違う。なんだろう、この不安定な無秩序さは。
 彼らは自分が作る音楽が好きなはずだ。しかし何がしたいか、いまいち掴めない。爽快さとも難解さとも違う、あいまいな無意味さ。そんな感じ。

 ポップな曲に通底するのは、バスキング風の賑やかさと寂し気な風合い。ハーモニーできっちり積み重ねるアプローチは、きっちりバンド・サウンド。しかし華やかなヒット曲狙いの明るさまでたどり着かない。思い切りポップだけど、途中でヘンなコラージュやブレイクを挟む。この辺のマイナーな実験もしくは遊び精神が、95年以降のアセンズで流行ったのかな。

 メンバーが残したデモテープや曲の断片を、シュナイダーがブラスを足してヘンテコに盛り上げたと解釈すればいいのだろうか。

 この盤はリアルタイムで買ったが、聴きこむまでには行かなかった。結局ぼくはまだ、この盤を上手く咀嚼できていない。それがエレファント6に馴染めなかった原因だ。こういう甘酸っぱいサイケは決して嫌いな世界ではないのだが。うーん、難しい。
 今回、ノイズ風のでたらめさは、妙にすんなり耳に入ってきた。少し違う観点で、次は聴いてみよう。 

Track listing:
A1 Opening 0:25
A2 A Familiar Noise Called "Train Director" 3:02
A3 Combinations 0:05
A4 Hideway 2:34
A5 Black Foliage: Animation 1 1:11
A6 Combinations 0:14
A7 The Sky Is A Harpsichord Canvas 0:04
A8 A Sleepy Company 3:40
A9 Grass Canons 3:21
B1 A New Day 2:29
B2 Combinations 0:15
B3 Black Foliage: Animation 2 1:22
B4 I Have Been Floated 3:39
B5 Paranormal Echoes 3:31
B6 Black Foliage: Animation 3 0:44
B7 A Place We Have Been To 2:25
C1 Black Foliage (Itself) 2:54
C2 The Sylvan Screen 6:08
C3 The Bark And Below It 11:24
C4 Black Foliage: Animation 4 1:36
D1 California Demise 3 2:46
D2 Looking For Quiet Seeds 3:13
D3 Combinations 0:11
D4 Mystery 3:26
D5 Another Set Of Bees In The Museum 3:07
D6 Black Foliage: Animation 5 2:08
D7 Hilltop Procession (Momentum Gaining) 3:21

Personnel:
Will Cullen Hart (vocals, guitar)
Bill Doss (vocals, guitar, tapes)
John Fernandes (bass, violin, clarinet)
Pete Erchick (keyboards)
Eric Harris (drums, theremin, guitar)

Mixed By, Recorded By [Overdubbing On Some Tracks] Robert Schneider

Accordion - Julian Koster (tracks: B6, B7, B10)
Bugle,Trumpet - Scott Spillane (tracks: A4, B1, B7, B10, B13)
Euphonium - Scott Spillane (tracks: A4, B1, B7, B10, B13)
Sequencing - Isaac McCalla
Trombone - J. Kirk Pleasant (tracks: A2, A4, B1, B4, B10)

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