ガトス・ミーティング 「ガトス・ミーティング」(2012)

 沸き立つ混沌とワサワサっとした生命力を、剛腕にジャズに仕立てた。

 林栄一のバンドが満を持してリリースしたアルバム。宣伝文句によると、原型は08年6月の林、吉田、岩見、磯部によるカルテットまでさかのぼるそう。次第にメンバーを増やし、本盤録音時点で4管ギター入り2ドラムの9人編成に膨れてる。ピアノがいないところがポイントか。
 本盤は2012年5月21日にアケタの店で録音のライブ盤となる。 

 収録曲は耳馴染みある林のオリジナル曲がずらり。少なくとも本盤は新曲を投入がコンセプトでなく、過去の蓄積を新たなメンバーで再解釈がテーマではないか。
 
 実はぼくは未だにガトス・ミーティングのライブを聴いてない。だからどうにも、文章に力がこもらない。ここ数年、ライブから足が遠のく生活をしているけれど、彼らの音楽はライブ演奏こそが肝。アルバムは途中経過もしくはスナップ写真であり、最新鋭の彼らを聴くにはやはり、ライブで無ければ・・・!

 ライブ現場での躍動感、質感こそがジャズの本質だと思う。わかってはいるのだが・・・なかなか今は事情があって、ライブには行けていない。

 気を取り直そう。ライブを聴いてない僕にも、本盤を聴いて楽しむ資格はあると思いたいし。
 中にはフェイドアウトする曲もあり、ライブでの再現でなくアルバムとして本盤は構成された。

 前述のとおり本盤は過去に林が演奏してきた曲ばかり。ざっと整理してみよう。
 (1)と(5)は"森の人"(2001)、(2)は渋谷毅オケの"Live'91"(1991)に収録あり。
 (3)は渋さ知らズのレパートリーですっかり有名になった。林の録音ではいつの発表だろう。手持ちでは"Mazuru's Dream"(2000)が最も古かった。"Bird and Bees"(2012)でも再演してる。
 (7)は"マズル"(1990)や"モンクス・ムード"(1996)、(9)はデ・ガ・ショー"続"(1996)で既発。
 (6)は本盤より前のレコーディングを見つけられなかったが、少なくとも81年頃から演奏の曲らしい。
 新曲は残る(4)(8)かな。すべての林栄一音源を聴いておらず、漏れがある。

 なおStudio Weeの恒例でレーベル購入だとアウトテイクのCD-R付き。本作では"North East"が聴ける。デ・ガ・ショー"Live"(1998)に収録の曲だ。

 林のスピーディで軋みと切なさを持ったサックスを、ホーン隊が荒々しく盛り立てた。2ドラム2ベースのリズムはスピーカーだと厚みがピンとこない。ヘッドフォンで音圧を浴びるとわかりやすいだろう。
 ビッグバンド的な爽快さを、様々な音域でみっちり埋め尽くして濃密な複雑さを作った。ここには行儀良いソロ回しや、明瞭なアレンジは存在しない。全く逆の方向性だ。

 前述のとおり(1)や(5)は斎藤も参加したコンボ編成で僕は耳馴染みある。タイトなリズム隊だった当時のバンドが、本作のわさわさっと雑駁なスタイルで力押しされるのも、新たな魅力が付与されて面白い。

 アンサンブルは力押し一辺倒ではない。時にすっと演奏をやめ、無伴奏で林のサックスを聴かせる場面もあり。この辺の緩急や見せ場づくりのうまさが、そうそうたるメンバーゆえの自由度の高さだ。
 がしゃがしゃとてんでに吹きまくりな一方で、たとえば(8)のテーマからトロンボーンへのソロ回しなど端正なところも見せる。引き出しの多さが奥行きあるアンサンブルを作った。

 フリーに音列が絡み合い、ピッチが震え揺らいでいく。うーん、やはりライブでも聴きたい。この音圧はスピーカーではもどかしい。ヘッドフォンの大音量でも物足りない。身体全体で周波数を浴びたい。
 ライブを聴け、で本稿を終わらせるのも芸がない。虚心に本盤を楽しもう。

 ちなみに今のガトスはメンバーに一部変更があるみたい。2017年5月現在では、ギターが石渡明廣、トランペットが山田丈造に変わり、オノアキ(b)と池澤龍作(ds)が抜けた7人編成になっている。

Track listing:
1. 森の人
2. スモーキー・ゴッド II
3. ナーダム
4. ガトス・ミーティング
5. 睡眠と目覚めの間で~イエロー・ジャック
6. 回想
7. インサイド・オブ・ジ・アース
8. 夜と友達
9. OM

Personnel:Personnel:
林栄一 (as) 吉田隆一 (bs) ネパール (tp) 後藤篤 (tb) 斉藤良一 (g)
岩見継吾 (b) オノアキ (b) 磯部潤 (ds) 池澤龍作 (ds)

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