Frank Zappa 「Francesco Zappa」(1984)

 ひねったユーモア感なシンクラヴィア・バロック。

 18世紀後半に活動した作曲家フランシスコ・ザッパの作品集で、ザッパはシンクラヴィアの打ち込みで再現した。ずっとザッパの手の込んだ仮想人物と思っていたが、実存する人らしい。ちょっと検索したら公式Webまであった。
http://www.francescozappa.it/en.html

 音色はデジタルの硬質なシンセの音色で、今聴くとキンキンと耳にきつい。チェンバロやマリンバ音色っぽさを狙ったと思われる。
 楽曲はオーソドックスなバロック。数声のシンプルな音列が淡々と響く。フランク・ザッパめいたヘンテコさは皆無で、こういう機会でもないと聴かなかったろう。
 
 ザッパはシンクラヴィアの手すさびの一環と、単に面白がって作品化したのではないか。自主レーベルならではの自由さ、ではある。

 虚心にバロック音楽として聴いたら楽しめる。ただ、ちょっとシンクラヴィア音色がきつい。むしろ余計なエコー成分を刈り取って欲しかった。痩せた倍音成分の無い痩せた響きにへきえきかもしれないが。

 あくまでザッパ・マニア向の作品であり、バロック好きにも薦め難い。ロックのダイナミズムは当然皆無、クラシック音源には音色が少々硬いため。
 その面で、時代のあだ花な作品と言える。84年当時ならば、本盤の音色はもう少し先鋭さとスリルを持って聴けたから。

 ザッパは何もアレンジをせず、単に譜面通りの打ち込みか。そのわりに(7)などの低音の乾いた響きは面白く聴けた。寄り添わず、ぐっと離れた和音感じが涼やかで良い。

 とはいえバロック音楽が好きな人には、退屈ではないはず。曲ごとに音色が変わり、単調さは注意深く避けられた。
 あとはメカニカルなフレージングのわりに、緩やかな人間臭さも漂う。タイムはジャストだが、わずかに揺れているような。微妙な打ち込みの工夫をしてるのか、気のせいか。
 一楽章が数分程度、どんどんと曲は進む。機械仕掛けの音楽ではあるけれど、どっか古めかしい人間の息遣いも感じた。

 音楽史の観点でフランチェスコ・ザッパはさほど語られる機会はないらしい。とはいえAmazonを検索したら、本盤の他にシンフォニーもCD化されていた。
 

Track listing:
1 Opus I, No. 1 (1st Movement. Andante) 3:28
2 Opus I, No. 1 (2nd Movement, Allegro Con Brio) 1:27
3 Opus I, No. 2 (1st Movement, Andantino) 2:14
4 Opus I, No. 2 (2nd Movement, Minuetto Grazioso) 2:02
5 Opus I, No. 3 (1st Movement, Andantino) 1:52
6 Opus I, No. 3 (2nd Movement, Presto) 1:50
7 Opus I, No. 4 (1st Movement, Andante) 2:20
8 Opus I, No. 4 (2nd Movement, Allegro) 3:02
9 Opus I, No. 4 (2nd Movement, Minuetto Grazioso) 2:26
10 Opus I, No. 6 (1st Movement, Largo) 2:05
11 Opus I, No. 6 (2nd Movement, Minuet) 2:01
12 Opus IV, No. 1 (1st Movement, Andantino) 2:42
13 Opus IV, No. 1 (2nd Movement, Allegro Assai) 1:58
14 Opus IV, No. 2 (2nd Movement, Allegro Assai) 1:17
15 Opus IV, No. 3 (1st Movement, Andante) 2:22
16 Opus IV, No. 3 (2nd Movement, Tempo Di Minuetto) 1:58
17 Opus IV, No. 4 (1st Movement, Minuetto) 2:07

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