Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O. 「Electric Heavyland」(2002)

 骨太のアシッド・マザーズなサウンドが楽しめる一枚。強烈なサイケデリック・ジャムが詰まった。

 02年3月~4月の米英ツアー"2002: A Space Ordinance Tour"を終わらせたあと、5月に本盤が録音された。敢えてヌケを悪くしたような音質観だ。

 冒頭でしばらくシンセが動いたあと、一気にバンドが炸裂した。ごちゃっと詰まった闇の奔流が一気に押し寄せる。
 (1)では中心を置かず、ドラムの疾走を軸にギターが溢れシンセが暴れる。ベースも止まらない。ぐいぐいと加速しながら、7分半過ぎに全体がグッとスピードを落とす。その急降下なメリハリが濃密でスリリングだ。
 再び冒頭と同じシンセが現れる。この辺で次の曲に移ったのか。

 一気にハードロックなギター・リフが硬質に現われ、ひときわ鋭く掻きむしられた。コットンのファルセットがたなびき、ドラムとベースが猛然とうねりを増す。
 改めて速弾きでのギターソロもエッジが立って、ぐいっと前にギターが出た。この曲の前半ではサウンドに埋もれてたのと対照的。

 (2)はテンションが似ているが、コットンの叫びを味付けにグッとサイケ寄りに盛り上がった。籠った音像の中でギターが左右に振れながらインプロを展開していく。
 連打乱打で4拍子ながら小節感がどんどんあいまいになった。やまないギター・ソロが時間を野太く連結。大音量にするほど迫力が増す。
 ジャムっぽい演奏だが12分過ぎで拍頭を変えるような動きがバンド一丸となって起こり、アンサンブルのダイナミズムも楽しめた。

 シンセのつぶやきが幕開けの(3)は音数が次第に増えていく。激しく左右にパンする歪みは加速して、噴出した。冷静なシンセの蠢きが沸き立つノイズと対照的。この場面はミックスをした河端の電子音楽寄りのセンスが強く出ている。
 たっぷり4分近くこの音像を味わった後、おもむろにバンドとして疾走が始まった。ギターが吼え、後ろでシンセも鋭く鳴る。

 ギター・ソロは延々と続き、奔放かつエネルギッシュに放出した。途中からシンセが加わり厚みを増す。個々のフレージングよりも全体が一丸となる団子サイケデリアな世界観が凄まじい。テンポはじわじわ上がり、スリルを高めた。
 エンディングはシンセがひらひらと左右チャンネルを飛び交いスペイシーさを強く付与する。
 痛快な勢いはそのままに、隙間なく溢れるアンサンブルの強靭さが魅力だ。全員が隙間を縫うように音を詰めていく。怒涛のAMT節がかっこいい。

 そしてエンディングで一気に音が消える落差も、あっけないが潔い。空白が余韻となり、迫力ある飛翔から現実へ急に落とした。

Track listing:
1 Atomic Rotary Grinding God / Quicksilver Machine Head 16:26
2 Loved And Confused 17:33
3 Phantom Of Galactic Magnum 19:03

Personnel:
Cotton Casino : vocals, synthesizer, beer & cigarette
津山篤 : monster bass, cosmic joker
東洋之 : synthesizers, dancin’ king
小泉一 : drums, sleeping monk
河端一 : guitars, speed guru

関連記事

コメント

非公開コメント