Acid Mothers Temple & The Cosmic Inferno 「Chaos Unforgiven Kisses Or Grateful Dead Kennedys」(2012)

 剛腕の嵐が切なく締め付ける。混沌な数本のエレキギターが高らかに吼えた。

 地獄組でリリースは08年以来の4年ぶり。年に一回はこの名義でライブを行っていたようだ。本盤の発表後、日本5ヵ所を回る短いツアーを同年6月に行った。
 本盤のメンバーはピカが抜け、Operaに変わっている。地獄組らしく、長尺のインストが弾ける。全員名義の作曲クレジットなため、ほとんどがジャムなのかもしれない。

 録音は高知のライブハウスChaotic Noiseで、11年12月22日に行われた。リリースもこのライブハウスが持つレーベルから。
 翌日に同じ場所で地獄組はライブを行っており、前のりしてレコーディングに臨んだようだ。

 Operaが奏でるエレクトリック・バイオリンがリフを作り、崩れ歪んだエレキギターが漆黒と混沌の濃密な世界を描いた。
 センチメンタルだが凛々しいバイオリンのフレーズが美しい。ベースがしっかりとサウンドを支え、ドラムは賑やかにはじけるAMTらしいグルーヴ。シンセも暴れるけれど、印象はエレキギターのほうが強い。
 東もギターのクレジットがあるけれど、河端のダビングではなく二人のギター演奏だろうか。
 
 (2)では朗々としたOperaのボーカルも聴ける。拍頭をきっちり叩く、まっすぐでシンプルな節回しは逆に力強い。

 本盤の魅力は強力なインプロの連続。強靭なリズム隊ががっちり骨格を固め、バイオリンが高らかに響く。そして周辺を埋め尽くすエレキギターの嵐とシンセのきらめき。個々の瞬間に隙は無い。濃密なテンションが延々と続いた。

 なるべく大きな音で聴きたい。叫び歪むエレキギターの華々しい炸裂は痛快で、バイオリンが加わることでアンサンブルに厚みが出た。
 地獄組のトレードマークである2ドラムの迫力よりも、ギターとバイオリンの絡みにぼくは耳が行く。主旋律はバイオリンに委ね、ひたすらひたむきに暴れ続けるギターの頼もしくカッコ良いことよ。

 細かいストーリー性や構成は気にしない。ただただ、ジャムが続いて行く。
 みっちりと隙間なく歪んだギターが埋め尽くした。音圧に溢れながらも、崩れすぎないミックスやマスタリングも良い。

Track listing:
1 Enough To Make You Fuck By Two Fingers 16:15
2 Grateful Bedtime For Fresh Pussy Landscape 16:38
3 How Does It Feel To Be The Acid Mothers Of 1000 Grateful Dead ? 20:57

Personnel:
河端一 : guitar, voice, speed guru
田畑満 : bass, voice, maratab
東洋之 : synthesizer, dancin’king
志村浩二 : drums, latino cool
Opera : drums, violin, voice, operatic bomb

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