Bachir Attar 「The Next Dream」(1992)

 ミニマルな酩酊感が広がる。ジャジューカへ、なぜかメイシオ・パーカーが参加した奇盤。

 モロッコの音楽、ジャジューカで有名なのは、ストーンズのブライアン・ジョーンズのソロ"Jajouka"(1971)だろう。アシッドとサイケの煙が充満するドラッギーな音楽ってイメージあり。あまり深く聴いておらず、全貌はよくわからない。


 Bachir Attarはそのブライアン・ジョーンズの盤に参加したThe Master Musicians of Jajoukaを、当時率いてたHadj Abdesalam Attarの息子。バンドごと引き継いで活動している。
 なおストーンズがらみでは"Continental Drift"(1989:"Steel Wheels"所収)にも参加した。

 Bachir Attar自身は伝統音楽に留まらず前衛にも興味あるらしい。1stソロ"In New York"はエリオット・シャープと共演だった。
 2年ぶり2ndの本盤はNY録音、プロデュースにビル・ラズウェル。ラズウェルの趣味かな。サウンドはジャジューカが充満してるのに、数曲でメイシオ・パーカーがサックスやフルートにて参加する、奇妙なコラボがなされた。

 メイシオの参加曲はエキゾティック・ジャズめいた風味が付与あり。
 トロピカルでヘンテコ風味は確かにユニークだ。しかしジャジューカがBGMに堕すような趣き。(5)のようにチンドンめいた雰囲気は面白かったが。

 作曲クレジットは無いが、タイトルは英語なのでオリジナル曲か。あまり長尺に持ち込まず、7曲を収録した。
 演奏の基本はデュオ。パーカッションと弦楽器の対話が基本ながら、ダビングを施し分厚い音像を作った。
 共演のドラマーAiyb Diengは、セネガルのミュージシャン。すなわち北アフリカと西アフリカの共演だ。そこへアメリカのサックスを加えた格好か。

 ジャジューカに詳しくなく、伝統を踏まえたコメントはできない。しかし残響感をたっぷり含ませて、充満する不穏なサイケ要素は本盤から滲んでる。あまりトリッキーな展開をせず、とはいえ伝統音楽もなぞらない。そんな距離感か。

 アドリブ・フレーズはメカニカルに上下する。この辺はイスラム的だ。長音符や付点の要素ももちろんありながら、淡々とフレーズが展開してゆく。派手な跳躍や突飛な音列でなく、丁寧に輪郭をなぞるように。

 ジャジューカを多重録音で作り上げ、さらにパラリと前衛風味を足した一枚。
 リズムは控えめでメロディ楽器が主となっており、煙った雰囲気を楽しめる。

 DiscogsによればこのあとBachir Attarはバンドを率いたアルバムばかり。数年おきに着実なリリースを続けた。
 最新作は一週間前の17/4/21にリリースした"Apocalypse Live"。ただし録音は15年7月10日だ。
 ビル・ラズウェルのレーベルから発売で、マテリアルとの共演名義。依然として彼と関係が続いてる。


Track listing:
1 Ceremonies Against The Night Of The Devil 4:20
2 Under The Shadow Of Liberty 5:52
3 The 1001 Nights 8:17
4 Here We Stay 6:32
5 Mixed Cultures 5:21
6 Full Moon In The Window 5:58
7 The Next Dream 4:48

Personnel:
Maceo Parker (As on 3, 5、Fl on 2)
Percussion [Chatan, Congas, Doff, Bass Drums, Tom Toms, Metal Percussion] Aiyb Dieng
Ghaita, Gimbri, Lira, Percussion : Bachir Attar
Producer : Bill Laswell
Recorded By, Mixed By Oz Fritz

関連記事

コメント

非公開コメント