Jack Johnson 「On And On」(2003)

 穏やかでシンプルなコンボ編成の、寛いだロック。これがオーガニック・サウンドか。

 サーフ・ロックといえば60年代のエレキ・インストやビーチ・ボーイズを連想してしまう。ギンギンにイケイケで爽やかなムード。だがここ15年ほどはサーフ・ロック=オーガニック・サウンドらしい。その右翼がこのジャック・ジョンソン。
 あまりリアルタイムで追いかけておらず、カントリー・ロックかと思い込んでいた。G Loveは前から好きだったが、ジョンソンまで食指伸びていなかったのが正直なところ。結局僕は、ブルージーにまくしたてるG Loveの鋭さに惹かれてたみたい。

 今回初めて、ジョンソンの名盤とも言われる2ndな本盤を聴いてみた。良いじゃないか。でもこれは、寛いだ気分で聴かないとダメだ。せわしなくストレスフルな気分だと、本盤はもどかしい。

 音楽に影響を受けるより、音楽へ寄り添う必要あり。心を広く大きく持ち、穏やかな波長でこの音楽に向かい合おう。そしたら、本盤も優しく懐深く迎えてくれる。まさに明るい太陽のもと、のんびりと聴きたい音楽。

 本盤は売らんかな、のギラギラしたムードが希薄だ。音楽への執着すら、怪しい。あくまでマイペースに曲を紡ぐ、無邪気な才人の作品と思う。
 音楽が好き、が根幹じゃない。カントリーを筆頭に体へ沁みついた文化スタイルを、感じたままジワリ溢れさせた感じ。

 アンサンブルはドラム、ベース、ギターのシンプルなもの。コーラス・ダビングもわずかにあるが、ほとんどが一発録りな感触がする。ちょっと高めのキーで、ジョンソンは鼻歌のように歌う。
 小細工はほとんどない。(15)の最後でシンバルが逆回転風にしゅわしゅわ鳴り、波音のSEから最後の曲へつながるような演出はあるけれど。基本は無造作に、かつシンプルに。音を埋め尽くさず、乾いたムードを生かした。
 
 カテゴライズは苦手だ。オーガニック・ミュージックってくくりも、音楽性というより生き方のスタイルを表しており曖昧でしっくりこない。
 でもまあ、言いえて妙なんだろう。

 本盤は16曲入り。その点、ジョンソンは手抜きも出し惜しみもしない。ざくっと10曲くらい録音して、あとは投げっぱなしって乱雑さはない。丁寧に曲を作り、ボリュームたっぷりに提示するサービス精神はある。ケチ臭くない、と言えばいいか。

 G Loveの"Philadelphonic"(1999)に提供した(13)もセルフ・カバーして、さりげなく話題性も作った。
 演奏は前作に続き、アダム・トポル(ds)とメルロ・ポドゥルフスキ(b)のみ。ゲストは呼ばず、素朴な製作だ。
 ドラムのさりげないセンスが素晴らしい。カホンやジャンベなどパーカッションも使い分け、乾いてるがタイトなビートを作る。
 ベースもすごく良い仕事してる。うっすらとメロディアスなフレーズで、優しく確かにアンサンブルをまとめた。

 アコースティックとエレキを曲によって使い分けた。この辺のアレンジは誰の手柄だろう。
 鼻歌気分で軽やかに歌うジョンソンのスタンスから、どうも素直にこの音楽を聴けない。クルーナーの小粋さでなく、手を抜いてるような気がして。どうも汗かく苦労が見えてこない。
 実際のところジョンソンの才能は確かに凄くある。ジョンソンのギターだって悪くない。テクニックをひけらかさずコード弾きが中心だが、見事にしゃっきりと刻む。(2)でのレゲエ風味なカッティングにはやられた。

 苦労せず、次々と音楽がわいてくるのかも。贅沢な話だ。

 日本盤はボートラで(2)のアコースティック・バージョンを収録。聴き比べる楽しみもあり。

Track listing:
1 Times Like These 2:21
2 The Horizon Has Been Defeated 2:33
3 Traffic In The Sky 2:50
4 Taylor 3:59
5 Gone 2:10
6 Cupid 1:05
7 Wasting Time 3:50
8 Holes To Heaven 2:54
9 Dreams Be Dreams 2:12
10 Tomorrow Morning 2:50
11 Fall Line 1:35
12 Cookie Jar 2:56
13 Rodeo Clowns 2:38
14 Cocoon 4:10
15 Mediocre Bad Guys 2:59
16 Symbol In My Driveway 2:53
Bonus Track
17 The Horizon Has Been Defeated (Acoustic Version) 3:02

Personnel:
Guitar, Vocals, Written-By - Jack Johnson
Bass - Merlo Podlewski
Drums, Percussion - Adam Topol

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