梅津和時 「Bamboo Village"竹の村"」(1980)

 硬質でフリー、呟きがタイトに展開するフリージャズ。たぶん未CD化だが、全曲音源がYoutubeにあり。

 本盤は富樫雅彦とDavid Friesenとのトリオ。全4曲中3曲を梅津が作曲し、B1のみ富樫が曲提供した。富樫の提供曲"How Are You"は同時期に"Valencia"(1980)でも取り上げてるレパートリーで、新曲ではないみたい。

 梅津のたぶん初リーダー作で、Kazutoki "Kappo" Umezu名義で発売。"Kappo"は70年代に梅津がNYで活動してた時のあだなだそう。

 時間軸的に、梅津が日本に戻って速やかに発売したレーベルと契約か。
 本盤は、日本フォノグラムのサブレーベル、Next Waveからの初期リリースだ。
 レーベルの委細は不明だが、富樫雅彦や佐藤雅彦、山下洋輔など日本フリージャズ黎明期のミュージシャンを抱えた。

 さらにコンセプトとして、世界へ通用するジャズを志向したっぽい。Mitchel Formanのリーダー作"Live At Newport 1980"(1980)も製作した。Discogsには10枚しか並んでおらず、あまり長生きしたレーベルではないみたい。

 本レーベルの第一弾は富樫と山下のデュオ"兆"という名盤。ああ、これを出したレーベルだったのか。
 そんなレーベルにNY帰りの実績を持ちながらも、若手にあたる梅津がリーダー作を任された。梅津がいかに評価され抜擢されてたか、よくわかる。
 
 David Friesenが本盤に参加した経緯は不明。Wikiによると前年に発売の彼のリーダー作"Other Times-Other Places"(1989)はビルボードのジャズチャートで11位のヒット。当時、売れていたベーシストのようだ。
 このレーベルにおいては、同時期に発売と思われる山本邦山とのアルバム"Hozan, Friesen +1"にも参加した。

 本盤は80年3月21,22日の二日間かけて東京で録音。細かく刻みリズムをばら撒く富樫のビートが一杯に広がり、それにつられぬ形でベースとサックスが硬質に鳴るフリージャズ。
 富樫の色合いが強く、生真面目さが全編を覆う。梅津も気負いがあったかもしれない。静かで穏やかなムードを漂わせ、後年のユーモアや破天荒さは控えた。真摯さが前に出ている。
 
 野太くも着実なベースに、小節を軽々とまたぎながら軸は絶対にブレないリズム。
 タイトでメロディアスなビートを生かしつつ、梅津は吹いた。むやみに我を張らず、サウンド全体を見渡しながら。

 デビュー作のわりにごった煮にならず、冷静な視点と俯瞰した姿勢を保てるところが梅津の大物なところか。ベテランと渡り合いながら、決して一歩も引かない。それでいて、リズムの豊潤さをじっくり生かした。
 
 アルバムの全体像は重厚で、70年代を引きずった生硬さが否めない。まっとうで冷静なフリージャズが広がった。緩急を効かせた凄みは堂々たるものだ。
 ぐいぐいとドライブさせるより、静謐な印象を受ける。(2)で激しく暴れもするが、最終曲が静かなだけになおさら。

Track listing:
A1 Bamboo Village 10:04
A2 Jumpin' Sambo 9:25
B1 How Are You 14:18
B2 Blue Tree 6:44

Personnel:
Alto Saxophone, Soprano Saxophone :梅津"Kappo"和時
Bass - David Friesen
Percussion - 富樫雅彦

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