Fedayien 「Live」(1997)

 濃密なフェダインの音楽が、ひときわ色濃く煮詰められた。

 ジャズに似つかわしくないフィードバック・ノイズから始まる。そして力強い炸裂。さらに今だからわかるが、前半の盛り上がりを潔くカットし、エッセンスだけを鮮やかに抽出した名曲(1)。
 すなわち再演がしづらい異国の地で、簡潔に自らの魅力をアピールすべく、なおかつ本質的な音楽性を全く削除しない。スピーディでいさぎよい演奏が本盤では聴ける。
 観客の瞬発力も良い。すぐさま演奏にノッて、騒ぎ声援を送ってる。

 歯切れ良いドラミング、切り裂き揺れるスリリングなサックス、逞しく野太いベース。
 さらに一曲目で川下はエレクトリック・バイオリンに持ち替えて、次々に音像を変えていく。この辺の手際よさに彼らの旺盛なサービス精神を感じる。決して独善的や手なりに終わらず、場面ごとに表現が柔軟に変わった。
 
 三人が生み出す絶妙な演奏は本盤でもばっちり。最前列で副島輝人がDAT録音したという、オーディエンス収録ゆえの、ちょっとこもって奥まった音質がもどかしい。

 4年ぶりのアルバムな本作は、またしてもライブ。あくまでライブ音源にこだわった。
 初の海外ツアーで、96年5月独メールス・フェスでの録音。8000人の観客を迎えおこなったという。心なしか観客の音圧も凄い。
 
 ぼくが初めて聴いたフェダインのアルバムが、これ。熱気と集中力にやられた。
 さらに本盤は後半2曲でゲストが加わり、フェダインの貪欲な吸収力を見せるとともに、プチ渋さみたいな展開にも至る。だからこそフェダインのみの演奏をもっと聴きたい、と初期音源をさかのぼることになる。96年当時は廃盤でなかなか入手できなかったが。
 
 収録曲は1stから(4)、2ndから(1)、3rdから(2)とまんべんなく選曲され、なおかつ新曲だった(3)も収録。CD化の際、日本の観客も意識したとしか思えない。絶妙なサービス精神だ。

 (3)以降をプチ渋さと呼ぶのは、メンバー的な意味合いのみ。当時の渋さの主軸である大編成でユニゾンのテーマ演奏なアプローチはここでは無い。フェダインの演奏を軸にフリージャズを繰り広げた。
 賑やかで雑多で混沌ながら、しっかりとグルーヴは成立する。タイトなリズム隊の二人の上で、ホーン奏者たちはのびのびとアドリブを繰り広げた。
 本質的にフェダインのスリリングさと違う方向性だが、音楽としては小気味よくも気持ちいい。わさわさっとしぶとい生命力にあふれた。

 今は廃盤。だが極端なプレミアはついてないみたい。

 アルバムとして貴重な記録であり、フェダインの懐深さを味わえる一枚。ただし、あくまで傍流。フェダインのスリルを求めるならば、初期作を推奨する。

Track listing:
1.海
2.DAVA DAVA DAVA
3.CAPPLYSO
4.フワルンバ

Personnel:
川下直広:sopranosax,tenorsax,violin
不破大輔:bass
大沼志朗:drums

Guest :
北陽一郎trumpet/泉邦宏altsax/花島直樹bassclarinet/カズ中原guiter
舞踏:遠藤公義/星野建一郎 

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