Art Blakey's Jazz Messengers 「Ugetsu」(1963)

 何度聴いても頭に入らないアルバムがこれ。

 子供のころジャズへ最初に触れた数枚のうちの一枚が"Moanin'"(1958)で、繰り返し聴いたせいもあるため、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズは「ジャズの基本」ってイメージが抜けない。
 その後もあれこれ聴いたが、さりとて熱中には至らないのが正直なところ。オーソドックスで手堅いイメージが強い。燃えるアドリブや、せわしなく追い立てるドラミングは決して嫌いじゃないのだが。ハード・バップの見本な一方で、どうしても変則的なスタイルに興味が行ってしまい、フリー寄りにジャズを聴いてきた。

 この盤も、今一つ乗り切れなかった一枚。ブレイキーの全盛期であり、ショーターが音楽監督を務めてバリバリな盤なのに。一般的な評判も良い盤ながらなぜかのめりこめず。その理由を探してたまに聴き返してる。そしてやっぱり、理由が分からない。なぜだろう。

 本盤はベースがJymie MerrittからReggie Workmanに変わったのちのライブ盤。レコードで言うと62年10月録音の"Caravan"でReggie Workmanが起用のようだ。本盤は翌年6月にNYはBirdlandでのライブ。

 以下のページによると、63年の年始に日本ツアーを行った。
 http://www.jazzdiscography.com/Artists/Blakey/chron.htm
 その影響で"雨月"、"On the Ginza"って日本がらみの楽曲を収録が特徴だ。ただし別に曲が日本風味なわけではない。ファンキーなメロディに仕上がってる。

 LPでは6曲を収録。のちに"Eva","The High Priest","Conception","The Theme"の4曲がCDで追加収録された。このうち"Conception"は2011年のリイシュー。ぼくは9曲入りの盤で聴いている。
 2011年版はこちら。左に線入りが目印か。


 3管編成で邁進する熱いジャズ。弛緩なくソロが回される。
 今、ふっと思ったが。マスタリングのせいで馴染めなかったのかも。凄いでかい音で聴いたら、ようやく演奏に勢いを感じられた。

 もともと演奏には切れもある。ショーターの冴えわたりを筆頭に、フレディ・ハバードも賑やかにアドリブを取った。
 歯切れ良いシダー・ウォルトンのピアノとせわしなく揺れるシンバル・ワークの絡みでリズムは煽り続ける。
 
 じっくり聴いてると、ブレイキーのシンバルは実に荒っぽい。ハイハットはぐらんぐらん音色が崩れ、リムショットにスネアとドラムは落ち着きないったら。テンポも揺れまくり。テクニックというより勢い一発で、前のめりにリズムが走り倒した。
 演奏も曲によっては危なっかしい。顕著なのがボートラな(7)。ピッチも怪しいし、音色も崩れそう。アンサンブルも震える。LPで収録の曲はどれもカッチリ決まってるけれど。
 
 がっつり暴れるアンサンブルは、ほんとならカッコいいはず。ただし今回、大きめの音で集中して聴いたら、だいぶ印象変わった。もう少しきちんと、向かい合ってみよう。
 全9曲で見た時に、ショーター4曲、フラー2曲。ウォルトン1曲にスタンダードが一曲。スタンダードでお茶を濁さず、気鋭のメンバーから積極的に曲を抽出してバンドを新鮮に保とうとしてる。

Track listing:
1 One By One 6:19
2 Ugetsu 11:03
3 Time Off 4:57
4 Ping-Pong 8:08
5 I Didn't Know What Time It Was 6:30
6 On The Ginza 7:02
7 Eva 5:53
8 The High Priest 5:22
9 The Theme 1:45

Personnel:
Freddie Hubbard (trumpet) Curtis Fuller (trombone) Wayne Shorter (tenor sax) Cedar Walton (piano) Reggie Workman (bass) Art Blakey (drums)

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