Jeremy Hababou 「Run Away」(2016)

 硬質でサッパリしたハード・バップ。乾いたメロウさで鮮やかに決めた。

 リーダーのJeremy Hababouはフランス生まれのイスラエル人。本盤が唯一のアルバム、かな。情報が少なく、よくわからない。ピアノ・トリオを基調にサックスがゲストに入る格好だ。日本ではAmazonの配信で容易に入手が可能。


 サイドメンも中堅どころでイスラエル系の人材がそろった。リーダーのJeremy Hababouこそ情報無いが、サイドメンのZiv Ravitz(b)やHaggai Cohen Milo(ds)はDiscogsで何枚も参加盤が出てくる。Gilad Ronenも自らのWebで複数のバンドを過去に運営し、何枚も参加盤情報があり。若手のピアニストが、生きのいい中堅の胸をかりて作った盤ってとこか。
 http://www.giladronen.com/MainPage.asp

 系列的にはTZADIKのラディカル・ジューイッシュ・シリーズに入ってもおかしくない流れだが。サウンド的にはあまり粘っこさや情感に寄り掛からず、きれいにまとめてる。毒が無い。
 なおベースで参加のHaggai Cohen Miloは、TZADIKよりリーダー・アルバム"Penguin"(2014)あり。そこでも本盤のドラマーZiv Ravitzとコンビ組んでる。仲のいいリズム隊のようだ。

 指は廻るがテクニックに寄り掛からず。キメや流麗さを前面に出し、隙を作らぬスリリングな展開を演出するあたりが今風のジャズ、か。
 ライブを聴いてべったり活動を追ったら印象は変わると思うけれど。本盤のみ聴いた印象だと、変拍子や和音感などでトリッキーさを追わず、オーソドックスに仕上げた感じ。
 音楽性はストレート・アヘッドなハード・バップ。ただし内部奏法っぽいフレーズを入れたり、ベースとユニゾンで走ったり。ピアノとともに歌ったりと、テーマからソロ回しの安直な構成に留まらず、フリーさや知的なアレンジを混ぜるあたり、そつがない。

 全曲がJeremy Hababouのオリジナル。ユダヤのルーツに拘らず、さまざまな音楽性を込めたみたい。(5)ではムソルグスキー"展覧会の絵"のプロムナードを変奏してジャズに雪崩れる展開を見せた。
 
 疾走しすぎずおしゃれなムードを漂わす。それでいて、野太い芯を持つのはベースとドラムの頼もしさに負う点が多い。ぐいぐいとメロディアスに低音が走り、かっちりタイトにリズムが跳ねた。
 確かなリズム隊に支えられ、軽やかに間を持たせながらピアノは鳴っている。
 熱狂的にのめりこまないが、サラッと聴けるジャズ。ただしベースとドラムの絡みは、かなりカッコいいぞ。

Track listing:
1.Runaway [05:07]
2.Paradox [05:50]
3.Avec Le Temps [06:13]
4.Rea [04:37]
5.RichaGilad Ronen saxrd & Mussorgsky [05:58]
6.Inner Urge [04:09]
7.A La Mode [06:50]
8.The Lick [Gilad Ronen 04:18]
9.Conflict [03:18]
10.Turbulences [05:35]
11.Someday [04:43]

Personnel:
Jeremy Hababou - piano & compositions
Ziv Ravitz - drums
Haggai Cohen Milo - bass

Guest - Gilad Ronen saxophone

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