S.O.S. Band 「Sands of time」(1986)

 売れ線と自我のせめぎあい。のっぺりな基調からリズム志向が漂い、少しとっ散らかり気味な盤。

 The S.O.S. Bandとして6枚目、売れっこプロデューサーなジャム&ルイスのプロデュースでは3作目の盤。上手いこと音像がハマってヒットしたようだが、次の盤からリード・ボーカルのMary Davisが抜け、プロデュースはジャム&ルイスが離れる。
 その後にパッとヒットしたイメージもないし、右肩下がりに解散へ向かったようだが。少なくともお仕着せの安定志向から抜け出そうと、じんわりあがく様子が伺えた。

 そもそもS.O.S. Bandは自分で歌も演奏もできるバンドとして77年に結成。80年代にテクノが流行ると一気に自前のバンドは流行らなくなる。
 1stのメンバーは、7人組。ホーン二人が、自前ソウル・バンドっぽくて象徴的だ。出身はジョージア州のアトランタ。
Jason "T.C." Bryant - keyboards, vocals
Billy "B.E." Ellis - saxophone, keyboards, vocals
Mary Davis - vocals, percussion
James Earl Jones III - drums, vocals
Willie "Sonny" Killebrew - saxophone, flute, vocals
Bruno Speight - lead guitar
John Alexander Simpson - bass, vocals

 これが本盤だと、このようなメンバーになっていた。
Jason Bryant - keyboards, lead vocals
Mary Davis - lead and background vocals
Billy Ellis - saxophone
Sonny Killebrew - saxophone
Abdul Ra'oof - trumpet, lead vocals
John Simpson - bass
Bruno Speight - guitar
Jerome Thomas - drums, percussion
 Willie "Sonny" Killebrew(sax)が抜け、ドラムが交代。8人編成で3管とコンセプトは変わらない。しかし本盤のサウンドで、ぱっと耳につくのはベタッとしたシンセ。もっとエレクトロな耳ざわりだ。これがSOSバンドの当時のサウンドらしいけれど。

 本盤の実質8曲中、6曲がジャム&ルイスの曲。さらに彼らが本盤へ投入は、コーラスにジェリービーンやジェローム・ベントンのザ・タイム組。そのうえアレキサンダー・オニール、その流れで子飼いのCherrelleなど身内をどっさり呼んだ。要は思い切りオーバー・プロデュース。
 それに反旗を翻すかのように、終盤2曲がSOSバンド組が自作を収録という。なんとも座りが悪い。途中でジャム&ルイスと袂を分かったような構成になっている。

 一方で本盤は、プリンス仕込みのファンキーさが聴けるわけでもない。妙に腰が重く、べったりしたリズム感だ。特にA面が顕著。ミディアムでじわっと広がる。
 ヒットした(6)でわずかにダンサブルな響きを出すし、チープなテクノ・ポップ的な(7)もビートを強めに出す。要はSOSバンドの持ち味としてワザとA面は、のっぺりなサウンドを広げたようだ。
 
 ちなみにSOSバンドが主導権取った(7)(8)はベースやドラムが主張を強め、メロウさは残るがバンドらしいダイナミズムを持つ。アルバムの聴きやすさならジャム&ルイス組のA面だが、躍動感ならB面のほうという。奇妙なストーリー性を持つアルバムになった。

 そもそも全体的に、SOSバンドは押しが強くない。バラードでコブシを効かせたり、アップで押したりもしない。中庸のイメージ。その安定志向路線の中で、じわりと方向性を探る。そんなさまが、本盤の特徴か。

 なお本盤はビルボードのソウル・チャートで4位ときっちりヒットした。シングルも多数切られ、代表曲となった(6)はソウル2位、全米44位の結果をちゃんと残してる。
 しかし本盤からシングル4枚の発売は凄い。アルバムをしゃぶりつくすような売り方だ。
 (1)(3)(6)(6)がシングル曲。(3)と(5)のB面はSOSバンド自作曲。(3)のB面が(8)で、(5)の裏は本盤未収録の"I Don't Want Nobody Else"。(1)と(6)は両A面的な位置づけか。いかにも当時らしく、12"シングルもいろいろ出てる。

Track listing:
1 Even When You Sleep 4:08
2 Sands Of Time 4:26
3 Borrowed Love 5:26
4 Nothing But The Best 4:45
5 The Finest 6:07
6 No Lies 4:58
7 Two Time Lover 4:30
8 Do You Still Want To? 4:23
9 Sands Of Time (Reprise) 0:32

Personnel:
Jason Bryant - keyboards, lead vocals
Mary Davis - lead and background vocals
Billy Ellis - saxophone
Sonny Killebrew - saxophone
Abdul Ra'oof - trumpet, lead vocals
John Simpson - bass
Bruno Speight - guitar
Jerome Thomas - drums, percussion

Additional personnel
Jimmy Jam, Terry Lewis, Jellybean Johnson, Stewart Hanley, Kurt Mitchel - musicians
Mark Smith - background vocals and guest vocalist on bridge of "The Finest"
Cherrelle, Alexander O'Neal - special guest vocalists (on "The Finest")
Terry Lewis, Lisa Keith, Jellybean Johnson, Jimmy Jam, Jerome Benton, Fredi Grace, Lloyd Oby - vocalists

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