Acid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O.  「Crystal Rainbow Pyramid Under the Stars」(2007)

 炸裂する疾走を、サックスのゲストを招き力強く築いた。骨太にスペイシーなサイケを軸に、多彩さを内包した一枚。

 アシッド・マザーズの宗家が07年4~5月の北米/カナダ・ツアーに合わせてリリースした盤。北川 ハヲ(vocal, theremin)アルバムに初参加、そのままツアーでも北川が同行の5人編成だった。当時のツアー音源は、数ヵ所ぶんAIに上がっている。

 さらに曲によって小埜涼子を招き、音像に広がりを出した盤。基調はうねるシンセとギターが暴れるアシッド・マザーズ節で、なおかつ(1)こそ7分と短い(?)が、あとは22分と40分の長尺2曲。
 地獄組と差別化は、アレンジの混沌さにある。パワフルな地獄組に比べ、宗家はドラマティックなイメージ。ゴング的な怪しさも内包した。

 本盤はCDとLPで曲目が違う。本盤の(2)のみ共通でLPは"Blues For The Narcotic Kangaroo"を投入、CDには未収録。マニアでなおかつLP再生装置の無い人には悩ましい商品選択だ。宗家側としては双方のメディアで差別化するため、だろうが。

 濃密なジャムをたっぷり味わえるアルバムだが、特に(2)の10分過ぎの構成が好き。リフが繰り返されるなか、伸びやかなギターが高らかにメロディを奏でるさまが、すごくかっこいい。
 がっつり武骨に暴れるドラムと、うねるベースが産む荒っぽいグルーヴを、しなやかにエレキギターが切り裂いた。

 (1)が北川を紹介めいた混沌かつ勢いある曲なだけに、酩酊感あふれる繰り返しから、いっきに展開する(2)のスマートさが格別だった。

 (3)は逆にエレアコっぽいかき鳴らしがトラッドめいた荘厳さを漂わせる。リフ一発で展開せず、シンセとギターのインプロが炸裂で浮遊性を強く表現した。
 そこから小野のサックスが幻想的に誘い、リズムもすっきりと変化。細かいダビングが施されてプログレ寄りの構成美を描いた。
 轟音ジャムと、音数少ないアコースティックな世界が交互に現れる。

 こうしてみると力押し一辺倒ではない。丁寧さとガッツある勢いの双方を注意深くプロデュースした。河端の幅広いバランス感覚が、さりげなく現れている。

Track listing:
1 Pussy Head Man From Outer Space 7:42
2 Crystal Rainbow Pyramid 21:57
3 Electric Psilocybin Flashback 40:21

Personnel:
河端一 : electric guitar, electronics, speed guru
津山篤 : monster bass, voice, cosmic joker
志村浩二 : drums, latino cool
東洋之 : synthesizer, dancin'king
北川 ハヲ : voice, hot spice & alcohol
小埜涼子:alto sax, aesthetic perverted karman

Recorded at Acid Mothers Temple, Oct.06 - Jan.06
produced & engineered by 河端一
digital mastered by 吉田達也

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